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【R5環境部門:必須問題】Ⅰ-1「再現論文:A評価!」/技術士第二次試験


【1】 問題文

 令和4年版の環境白書によれば、現在、「気候危機」とも言われている状況にあり、また、大量生産・大量消費・大量廃棄のライフスタイルは、大量の廃棄物や排出ガス、排水等を発生させるとともに、生物多様性の損失を招き、地球環境に限界をもたらしつつある。これらの危機に対処するためには、持続可能性を実現するための「脱炭素」、「循環経済」、「分散・自然共生」という多角的かつ相関している3つの切り口からのアプローチが必要である。以上を踏まえ、持続可能で強靭な社会経済を実現するためのアプローチについて、以下の問いに答えよ。

(1)上記の切り口を踏まえ、技術者としての立場で3つ以上の観点から課題をそれぞれ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち、国際的目標達成の困難性が高い課題であって最も重要と考えるものを1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を、環境部門の専門技術用語を交えて示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)の業務遂行に当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要な要件を題意に即して述べよ。


【2】 評価事項(by 小泉)

(復元論文は、受講生さんの了解を得て、ここに掲載します)

 素晴らしい!の一言。よくここまで試験本番で書けたなぁ、と思いました。

 設問(2)で挙げた解決策に対し、設問(3)で個々に新たなリスクとその対策を述べているところが、非常に論文構成としてわかりやすいです。

 私は文句なしのA評価と判断します。

 みなさんの評価はいかがでしょうか?


【3】 A評価論文(by 受講生)

(注)noteの表示上、項目名を下線で表示できないので、太字で表示させます。また、最後の1文も太字で表示させます。

1.持続可能性を実現するための観点およびその課題
 設問に問われる観点を以下の①~④に示し、各観点の課題を述べる。
①エネルギー効率の改善
 課題
:現在の技術では、エネルギーの生産と消費の効率が十分でない。これにより、必要以上のエネルギーが消費され、大量の二酸化炭素が排出されている。
②再生可能エネルギーの利用拡大
 課題
:再生可能エネルギーの利用は、脱炭素社会を実現するための重要な手段であるが、その普及と導入にはまだ多くの技術的かつ経済的な障壁が存在する。
③リサイクル技術の進化
 課題:現在のリサイクル技術では、全ての廃棄物を再利用することは難しく、また、リサイクルプロセス自体がエネルギーを消費し、環境負荷を生じる場合がある。
④自然との共生技術
 課題:自然環境を保全しながら、人間の生活や経済活動を維持するための技術やシステムがまだ十分に開発されていない。
2.最も重要な課題およびその解決策
 前問で挙げた課題のうち最も重要なのは再生可能エネルギーの利用拡大と考える。この課題に対する解決策を以下に示す。
①技術革新:再生可能エネルギーの効率を向上させるために、新しい技術および材料の開発が必要である。例えば、太陽電池のエネルギー変換効率を向上させるための新しい材料と設計、風力タービンの性能を向上させるための新しい設計と材料などが挙げられる。
②インフラ整備:再生可能エネルギーの普及を促進するためには、電力網の改善およびスマートグリッドの導入などのエネルギーインフラの整備が必要である。これにより、再生可能エネルギーの不安定な供給を補うことができる。
③政策的支援:政府の補助金や税制優遇、再生可能エネルギーの導入を促進する法律など、政策的な支援が必要である。これにより、再生可能エネルギーの導入コストを下げ、その普及を促進することができる。
④教育と啓発:再生可能エネルギーの重要性を理解し、その利用を促進するためには、教育と啓発活動が必要である。これにより、一般市民や企業が再生可能エネルギーの導入を積極的に進めることができる。
3.新たに生じうるリスクおよびその対策
①技術革新
:新しい技術および材料の開発は、未知の環境リスクをもたらす可能性がある。例えば、新しい材料の製造過程で有害な副産物が発生する可能性がある。これに対する対策としては、開発段階での厳格な環境影響評価と、可能な限り環境に優しい製造プロセスの採用が考えられる。
②インフラ整備:電力網の改善やスマートグリッドの導入は、サイバーセキュリティのリスクを高める可能性がある。これに対する対策としては、強固なセキュリティシステムの導入と、定期的なセキュリティチェックが必要となる。
③政策的支援:政府の補助金や税制優遇は、市場の歪みを引き起こす可能性がある。これに対する対策としては、政策の透明性と公正性を確保し、定期的な評価と調整が必要となる。
④教育と啓発:教育と啓発活動は、情報の不均等や誤解を引き起こす可能性がある。これに対する対策としては、情報の正確性とアクセシビリティを確保し、多様な視点と意見を尊重することが重要である。
4.技術者倫理、社会の持続可能性に必要な要件
1)技術者倫理
:すべての業務遂行において、技術者は公正さ、誠実さ、専門性、責任感、および社会への奉仕の観点から、技術者倫理を遵守し、社会全体の利益を最大化する必要がある。
2)社会の持続可能性:技術者は社会的公正、経済的および環境の持続可能性を考慮し、リスクを最小化する必要がある。
 これらの要件は、技術者が業務を遂行する際の行動指針となる。

以上


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