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梅雨

頭が痛い様な、痛くない様な。脳が揺れている感覚。動悸。しばしばする目を上にやると東の窓から、白い雲に遮られても、それでもなお、とやってきた白い光量に、お役御免か..と影の薄くなった蛍光灯が私に昨晩を伝えた。

ああそうか、かろうじて布団は敷いていたから腰は痛くならずに済んだのか。私にしては早い7時に起きられたのはさしずめ眠りが充足していないのだろう、と。疲労は土曜日にでも返しておくか。

昨晩何をしていたかなんてことはどうでもよくて、それよりもこの朝は調子が良かった。負債の取り立ては土曜日に回しておいたからすぐに立ち上がる事が出来た。布団を畳み、電気を消してシャッフル再生のボタンを押す。少し乗り気な、しかしやかましいと言うほどもない音楽、私の爽やかな朝と合致して心地よく作業を進める。洗濯と洗い物を済ませ、パンを焼く。今日のプレイリストは良い選曲だ。まるで不快にさせてくれそうもない。

掃除機をかけるはずだったのは、始業2分前。
ここは諦めて入学時に親に買って貰った、学校の提供していたのと同スペックだがそのクセ学校のよりも値が張った、ノートパソコンを立ち上げる。立ち上がりの遅さにイライラしつつ、始業開始0分で入室出来た。

出席だけ確認すると、前2回分のノートをとっていない私は話が分からないので机の端にある広告に目を移した。昨日の夕方、買い物の帰りにとっておいたのだった。広告に書かれたリフォームや金の延べ棒などには興味は無いが、私にあてられた書類を私が受け取る、特に意味は無い憧れがあった。勿論私宛の書類など入ってはいないし、それどころか前の住人宛に、借金の通知が入っている。

通知ハガキは他人の一部を知れて面白いが、それ以外に特に使い道は無いので捨てた。教授のよく分からないーー自主的に勉強をすることが出来ない様な低い人間に合わせてくれない不親切な、授業音声をワンルームに撃ち込むノートパソコンのその横で、広告を折り、折り、開いて、折って、、一枚ずつ簡単な箱を作っていく。