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舞台『ダブル 』感想


 舞台「ダブル」を観てきた。

 なんかとんでもないものを観たなあと思った。
 原作が大好きで、故にちょっと面倒な客になってしまうのが嫌だなと思って観に行ったけどそんなのは杞憂だった。
  あまりにも最高で忘れたくないので感想です。

 まず玉置玲央さんの鴨島友仁の写真を観た時点で「いる」じゃん、と思ったんだけど、舞台を観たらもう最初の場面で二人が完全に「いる」のでびっくりした。
 和田さんが舞台上で長い手足を持て余しているように見えて、漫画を読んだ時の多家良像とびたーと一致した。
 原作の再現率が高い!とかそういうことじゃなくって、全キャラクターが完全にその場にいるもんだから度肝を抜かれた。

 板の上にいる役者としての友仁と多家良を観ているのではなくて、二人が人生に悩んでいる様子や、芝居の話をしているのを観せてもらっているはずなのに、なんだか私は舞台を観ているうちに友仁と多家良の二人が出ている舞台を観たことがあって、二人のファンで、二人の自伝的舞台を見せてもらっている、というような錯覚に陥った。
 役者としての二人が、悩んで、日々を過ごしている、という説得力と立体感で自分の座標がわからなくなる感じの凄まじい観劇体験だった。

 少しネタバレだけど、友仁と多家良の出会いについて笑いながら話す場面。
 柿喰う客の芝居を観に行ったときにロビーに軽やかに出てきて知り合らしき人に挨拶している玉置さんを実際に観たことがあるぞ、というのを思い出した。
 スズナリじゃなくて本多劇場だったけど、下北沢でしたね。
 まじで個人的な思い出補正もあって、完全に二人の出会いが「見えた」。ラッキー人生。
 たぶんお客さんのほとんどに似たような体験があるのではないか。

 2時間20分、長いのでは? と思ったけど、観終わったら、「もっと観ていたいのですが?」になったので、最高だった。
 めっちゃ面白い舞台だった。

 なんかそういえば原作読んだ時も、読んだらしばらくそのことしか考えられなくなるから、家のどっかに漫画を隠してた。
 こんなに食らってしまうとは正直予想外だったんだけど、観たあとからずっと友仁と多家良という二人の役者のことをかんがえてしまっていて、
 二人が一緒にいることの残酷さと美しさで、ぐちゃぐちゃになってしまって、とんでもないものを観れて本当に幸せだなあと思った。

 明日は千穐楽。もうチケットは持ってないけど、なんと配信があるということで(しかもアーカイブあり)
 配信絶対買って観ようの気持ちになっています。


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