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あちらが立てばこちらが立たないデザインの話

こんばんは、sosekiです。

最近仕事で毎週関西に帰りますが、空いた電車に乗ってふと思うのが、座席の形。
関西の通勤型電車は平たいソファ型になった座席の電車がそれなりに多いのですが、関東では、一人ひとりの座る部分に窪みをつけた座席の電車がほとんどです。
この窪みがある座席は、バケットシートなどと呼ばれています。

一番の目的は定員着席。混雑の激しい車内で、設計者が想定した人数に座ってもらうための工夫ですが、この形状の善し悪しがしばしば議論になります。
例えば、長椅子タイプに比べてゆったり座れないので掛け心地が悪いとか、体型の大きな人が座れないとか。一方、長椅子タイプだと皆が好きなところに好きな格好で座るから、へんな隙間が空いて着席数が減ったりします。良心に委ねる、空気を読む必要があったりします。

どっちもメリットとデメリットがあるなかで、双方を解決する革新的なイノベーションが生まれないかぎり、設計者は選択をする必要があります。100点満点のないなかで天秤にかける感じです。

デザインに携わっていると、こういう機会は多々あります。そして多くの場合、ポジティブな意見よりネガティブな意見が後から押し寄せてきます。先述の通りイノベーションを生み出すことができれば理想です。

デザイナーを目指す方には是非、客観性をもってモノを見て、口に出してほしいなと思うことがあります。たいていのデザインには理由があり、そこにはこのように妥協も優先順位もあります。もちろん、違う視点から見て改善できるケースもあります。ただ、頭ごなしに主観で判断し、口に出すだけだと、自分だけの高得点を生み出す仕事になってしまい、工夫が生まれない、細部に魂の宿らないモノを量産してしまいます。

本当はテストをしてレビューを得てから量産できれば理想なのですが、日本の経済構造はそういうプロセスが極めて取りにくく、理解も得難いのが事実です。

ものの両側面を見る。
これが、進化への足掛かりになるのでは、とふと思うことがとてもあります。

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