現在進行中の友達
先週、大学の友達に会いに栃木市へ行ってきた。
彼女は結婚と同時に栃木へ嫁ぎ、もう5年ほどが経つ。
その間に、わたしは2回彼女の元を訪れていて、1度目はまだ彼女に子どもが生まれる前、2度目は子どもが生まれたばかりの約3年前。そして今回が3回目。実に3年ぶりである。
わたしの住む横浜から彼女の住む栃木までは、遠い。結構遠い。
往路は特急を使って、復路は高速バスを使った。
浅草から特急に乗って約1時間。全席指定の特急列車は、平日の午前中、幾人かのサラリーマン風のおじさんと、数組の旅行へ向かいそうな若者だけでがら空きだった。
わたしは窓際の席を購入していたんだけど、大体の有料の電車の場合、前後2席分に対して1つの大きな窓になっていると思う。わたしが購入したのは奇数の席で、大きな窓の前方だった。つまり、景色が見えにくい。さほど素晴らしい景観が見られる道のりでないことは知っていたけど、ちょっと残念な気持ち。
でもそう思ったのも束の間、久しぶりに長距離の電車移動、一人での遠出、友達に会うこと、どれも楽しみで、きちんと準備をしていたのだ。
去年の冬に買って、まだ封も開けていなかった好きなバンドのCDをiPhoneに入れてきたこと、夫さんが買って先に読んでいいよと言われていた小説を持ってきたこと。
大学生の頃、実家から1時間半ほどかけて電車通学をしていた。その時の習慣で、小説を読んだり音楽を聴くのは、移動中や電車の中じゃないとなんだか気乗りしなくなってしまい、休職して家にいるばかりの今はもちろん、仕事をしていた時は朝は眠いし、帰りは疲れてしまって、そんな余裕がなかった。
だから、冬に買ったCDをまだ1度も聴けていなかったのである。
しかし、この日は一人で、1時間も、しっかり座って、余裕を持って、移動中を楽しめる。iPhoneに取り込んだ新譜を聴きながら読書した。
きのこ帝国の「タイム・ラプス」からまず聴いたのだけど、傘、ヒーローにはなれないけど、カノンが好きだった。原則、小説を読みながら聴いているので歌詞はあまり入って来ないけど、なんとなく気を持っていかれる曲が好きな曲だと思う。
そうして小説を読みながら、音楽を聴きながら、1時間ほどで彼女の待つ栃木へ着いた。
わたしは彼女の子育ての合間に少しでも楽しめるような何かがしたかったし、彼女は遠方からわざわざ来るわたしに少しでも楽しめるように気を遣ってくれた。
結論、幼稚園のお迎えまで、カフェでダラダラとお喋りをすることになった。
2年ぶりに会う友達。何かあればLINEをしていたし、他のSNSで互いの様子はなんとなくわかっていたけど、栃木のど田舎(あえてど田舎と言わせて欲しい笑)での生活は大変そうだった。栃木での子育ての話、ママ友の話、仕事の話、家事の話、わたしの入院や手術の話、などをした。
わたしは(きっと彼女も)都会暮らしが好きな人間だから、彼女がもう5年もど田舎で暮らしていること、これからも彼女はそこで暮らしていくことがすごいなと思っている。(ここでいう都会暮らしは、お店が多くて便利ということに加えて、人間関係も含む)
ただ、わたしは彼女がど田舎での暮らしも「子どもを育てるには良い環境」と話していて、とっても嬉しかった。彼女の田舎暮らしを勝手に心配していたので、マイナス面ばかりじゃなかった!って勝手に安心した。
わたしがこれから控える入院や手術の話をした時、彼女はわたしの意見を尊重しながらも自分の意見をとてもナチュラルに伝えてくれた。きっとわたしも彼女の話すママ友や仕事の話をナチュラルに受け止められていたと思う。そういうアサーティブな関係性が、わたしと彼女が現在進行形の友達である所以かもしれない。
30年生きてきて、友達はたくさんいた。保育園の頃も小学生の頃も、中学ではいじめられたこともあったけど他校にいたし、高校も大学も恵まれていたし、その後社会に出てからも。かつて友達だった人たちとは、わたしも彼ら彼女らも変わってしまって交わる点がなくなってしまったから、過去になってしまっていて、現在進行形の友達は変わりながらも交わる点が今でもあるから、友達を継続しているんだろうなと思った。
そんな形で本当にのんびりとカフェでお喋りをした数時間はとても楽しかった。
それから、こういうことを感じ取れる感覚を取り戻せたのもすごく嬉しかった。
またいろんなことが落ち着いたら栃木に遊びに行きたいし、子どもを連れて横浜に遊びにきて欲しいなと思う。現在進行形を継続しながら。
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