3週連続新曲配信

ASKAさんが新曲を毎週1曲ずつ、3週にわたりリリースした。

「幸せの黄色い風船」「自分じゃないか」「僕のwonderful world」。

タイトルを聞いただけでも、三曲三様のバラエティ豊かな楽曲たちであることが想像できるだろう。

語りたいことは山ほどあるが、中でも驚いたのは3曲とも7月に楽曲が完成し、わずか2か月後の9月には作品としてリリースされているという事実だ。

他のアーティストのリリーススパンはよく知らない。でも、ことASKAさんに関して言えば、とにかくこだわって、こだわって、ほぼ完成の段階まで来たその数分後にすべてを白紙に戻し作り直すこともしょっちゅう。「曲ならいくらでもできる」としながら、一方で1曲の歌詞を完成させるのに数か月、なんてこともざらだった。

ASKAさんの書き下ろし詩集に「ラブラブショー」という詩がある。

**********************************

まず歌詞を書くにあたって
僕なりの方法がある

ひとつは自分の言葉として生まれ落ちたもの
もうひとつは他人の言葉が深く胸に染みついたもの

ふたつを合わせてデスクトップのまな板の上で程よく叩く
一日を表すなら「おはよう」のようなものだ

(中略)

たっぷり染み込ませた情景を
経験のペーパーで丁寧に包み込む
荒々しく見せたいときも
荒々しく見えるように丁寧に包み込む

詩は色感 歌詞は語感
聴き手と景色を合わせるために言葉を順序良く並べて行く
言葉には順番がある
僕の味覚と同じにしなくてはならない
広場のようになった情熱のオーブンの上にそれを乗せて焼く

まだ姿を見せていない歌詞をしばし覗き込む
ほんのりと景色が見えたら裏返してみる
歌詞の香りがしてきたら
それをオーブンから素早く取り出す

取り出した歌詞に比喩のソースをかけ
今度は心のフライパンでこんがりと焼き意味をつける

納得のいく意味がついたら
心理というアルミホイルでもう一度包み込む
そこでカプチーノを一杯
それを飲み終わった頃にアルミホイルを開く

温かい新顔の言葉に惑わされぬよう
出来上がった歌詞を大事に口にしてみる
メロディと歌詞がしっくりくるまで何度も歌う

(後略)

**********************************

ふとこの詩を思い出した。


これだけの工程を経て、納得のいく完成品に仕上げるのにわずか数時間から数日しかかからないなんて。
天才は違うね、って言葉で逃げたくはない。が、やっぱり天才なのだと思う。

この詩でいうところの、

温かい新顔の言葉に惑わされぬよう
出来上がった歌詞を大事に口にしてみる
メロディと歌詞がしっくりくるまで何度も歌う

の部分が特に大事な気がする。ASKAさんの曲(歌詞)の魅力の一つに、このプロセスが抜かりないからこその完成度の高さがあると思っている。

話がそれた。そして長くなってしまった。

新曲3曲の感想は、次回以降に。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?