DPE店のスマホ転送とデジタルデュープの比較
フィルムをデジタルデータとして保存したい時、みなさんはどのようにしていますか?
最も一般的なのは、やはりDPE店で現像する際のオプションとしてデジタイズをお願いするというものになると思います
ですがそこからのステップアップとして、普段デジイチで写真を楽しむ方の中で、デジタルデュープ(フィルムをデジカメで撮影)をしようとしている方もまた、多いのではないでしょうか
今回はデジタルデュープについての画質を比較する記事となります
デジタルデュープとは
デュープとはフィルムを複写する事を指し、フィルム時代はフィルムをフィルムカメラでデュープする事で複製していました
それをデジカメで行うのが通称デジタルデュープです
デジタルデュープは基本的に、レンズ交換式カメラに等倍マクロレンズを用い、他にも色々な道具を用いて撮影します
ネガであればその後の編集は高度且つ欠かせないものになります
そのため初期投資も手間もかなり大きくなりますが、そのプロセスから得られる写真にはデジタルのそれを大きく超える愛着が湧くはずです
この記事では以下の画像を例に用いつつ、デジタルデュープ(以下デュープ)をしたい方向けに、DPE店(以下お店)とデュープの画の違いを解説します
お店の場合
お店でやってもらうスマホ転送サービスなどは完全に他人任せなので楽で良いのですが、反面以下の様なデメリットがあります
①スマホで鑑賞したりシェアするのであれば問題ないのですが、タブレットやPCの大きな画面で鑑賞する場合、画素の粗さが目立ってしまいます
また、画素数を確保しつつトリミングするという事が難しくなります
②③の問題は、色調など一切変えないのであれば良いですが、他人任せでは自分の望む色調にはなかなかならないものですので、そこを補正する為の自由度が低いのは不便です
④これはフィルムとデータをちゃんと見比べるとわかるのですが、お店でデータ化された写真はコマ一杯にスキャンされてはおらず、少し狭くトリミングされています
折角フィルムに焼き付いた情報が削られているのはもったいないです
⑤これは個人的にまあまあな確率で発生するのですが、コマとコマの間がスキャンされていることがたまにあります
以下の画像は右端にコマの間が写ってしまっていて、本来取り込まれるはずの要素が左の外に逃げてしまっています
⑥お店でのフィルムの扱いはおそらく自分でやるよりも大雑把なのだと思いますが、目立つダストが乗っていることは珍しくありません
デュープでもホコリは乗りますが、画素数(=情報量)が多く、レタッチが簡単です
デュープの場合
デュープの最大のデメリットは初期投資の大きさ、次いで手間です
しかし、それを補って余りある程の以下のメリットが得られます
①どんなカメラを使うかにもよりますが、今時大抵のカメラは2000万画素は下らないでしょうから、微粒子フィルムの精細な描写も余す事なく再現できるはずです
②デュープするのがポジでもネガでも、まずはRAWで撮影するのが基本です
特にネガはその後のポジ反転作業があるので殊更その必要性は高いです
結果的に、編集の柔軟性が高くなります
③カメラのポテンシャルというより、ネガの場合のラチチュードの広さがモロに現れるという話になります
特に太陽などによる強烈な光源を撮影するとわかりやすいと思います
④フィルムをほぼ全域デュープするので、フィルムに焼き付いた光を余す事なく記録できます
お店デジタイズでは見えなかったものが見えてきます
各所の現物比較
では実際に冒頭の写真を拡大して、デュープの恩恵がどれほどのものかを見比べてみましょう
写真は鎌倉〜江ノ島に向けて走らせた車の中から、陽が沈んでいく江ノ島を撮影したものです
まずはシーキャンドルのディテールと夕陽のダイナミックレンジを比較してみましょう
言わずもがなですが、上がお店デジタイズで下がデュープです
デュープの方はシーキャンドルの骨組みをしっかり描写しており、また夕陽による高輝度部の白飛びをかなり抑えて表現できていることがわかります
雲がある事やその形までもがはっきりとわかりますね
続いて暗部はどうでしょうか
それぞれの画像の明るさとシャドーを同じだけ画が破綻するまで持ち上げてみました
暗部のディテールも明部程ではありませんが、やはりデュープの方がはっきりしています
今度はトリミングの具合を見てみましょう
お店の方で見えなかったスズキのロゴが、デュープの方は見えていますね
それだけお店の方では本来の画角から狭く取り込まれているということがわかります
いかがでしたでしょうか
お店のスマホ転送は気軽で良いのですが、フィルムの描写を色んな意味で削いでしまっている事に気づくと思います
逆に自分でデュープしてみると、フィルムの表現の幅に改めて気付くことができます
まとめ
この記事ではデュープやネガポジ反転のハウツーではなく、完成した作品にどの様な違いが生じるのかを比較して検証する事に軸足を置いて書いてみましたが、いかがでしたでしょうか
ポジフィルムをライトボックスの上に置き、ルーペを覗いて鑑賞した時の筆舌に尽くしがたい感動、それをネガでもデジタル化した上で、モニター上でそれに近い感動を味わえると思います
これまでお店任せでは見えてこなかったあらゆる「フィルムの味」が鮮明にモニターに映し出される感動を、共有できれば良いなと思っています
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