【SH考察:005】ルーナ バラッドはどこで生まれどのような軌跡をたどったのか
Sound Horizonの作中、かつて存在したと言われる詩人バラッドの最期の詩は、苛酷な旅を続ける娘の心の支えとなった。
その娘は恋人も視力も失ったが、自身もまた詩を続け、そして今度は彼女の詩が人々の希望となった。
この娘、ルーナ バラッドの軌跡をまとめた。
対象曲
1st Renewal Story Chronicle 2ndより『辿りつく詩』『薔薇の騎士団』
9th Story Neinより『名もなき女の詩』
考察
考察にあたり、事前にこちらもぜひご一読ください。
ルーナ バラッドは何者なのか
まずルーナ バラッド。彼女について、Chronicle 2ndの『薔薇の騎士団』で以下のように表されている。
ここでまず、ブリタニアでの重要人物であることがわかる。
ブリタニアに由縁を持つこと自体は、彼女やエンディミオの名前からも察することができる。
まずルーナ自身の名前を詳しく見てみよう。
名 :ルーナ(Luna)
ローマ神話の月の女神ルーナ(ギリシャ神話のセレネーと同一視)が由来の名前。
ちなみに後述するが、セレネーはエンディミオンとの悲恋が代表的な逸話となっている。
姓 :バラッド(Ballad)
Balladは英語で、物語など伝承を歌にしたものを指す。
特にこの姓から英語由来であること、転じてブリタニアに由縁を持つことがわかる。
エンディミオも同様。
彼は姓が分からないので、名だけ詳しく見る。
名:エンディミオ
これはギリシャ神話にちなむ名前だ。
そして、前述の通りエンディミオはセレネーとの悲恋が有名だ。
(余談だが、セーラームーンでも月の王国の王女セレニティと恋に落ちるのはプリンスエンディミオン)
ともかく、ルーナもエンディミオも、基本的にはブリタニアで生まれ、ルーナはブリタニアでの重要人物になっている。
ルーナが有名になるまでの急展開
2点、不明瞭な点がある。
それはルーナがフランドルに立ち寄っている可能性が高いこと。
そして、眼病で視力を失ったときと、フランドルからブリタニアに戻とき、そしてルーナが有名になるまでがかなりの速度で進んでいることだ。
根拠は、改竄後の世界にはなるが、Neinの『名もなき女の詩』だ。
彼女はこの時苛酷な旅の結果過労で倒れて死にかけていたが、帝都パリに店を構えるパン屋に助けられている。
帝都パリは言わずもがな神聖フランドル帝国のパリ、現実でいうとフランスのパリのことだろう。
「王都」ではなく「帝都」と言っていることから、エンディミオを探す旅はフランドルが帝政に変化するタイミング、ブリタニア暦627年&フランドル帝国暦元年を挟んでいることがわかる。
なお、改竄でそもそも旅のルートがゆがめられたのでは?という可能性がなくもないが、その可能性は低いと考えている。
というのも改竄のおおもとは、ルーナというよりも、詩人バラッド(エンディミオ)が、自身の信念を貫いたかどうか(冬薔薇を称える詩だったかどうか)だ。
信念を捻じ曲げて称えたことで、詩人バラッド(エンディミオ)が生き延びた。
そのため「最期の詩」が作られなかった。
これによりルーナは心の支えとなる口ずさむ歌がなく、倒れた後旅を途中でやめてしまった。
つまり、直接的に改竄の影響を受けたのは詩人バラッド(エンディミオ)の方で、ルーナはその余波を受けただけに過ぎない。
探す旅自体は改変前後どちらも発生しているので、ピンポイントに旅のルートに改竄が入ったのではなく、どのみちフランドルに寄ったと考える方が自然だと考えている。
ともかく、ルーナは旅の過程で、帝政に変わったフランドルに立ち寄っている。
改竄がなければこの後、重要人物アルヴァレスがブリタニア暦630年&フランドル帝国暦4年に暗殺され、その墓標にルーナの詩が刻まれる。
このことから、帝国暦4年時点でルーナ(の詩)は墓碑銘に詩を刻まれるほどに有名になっていることがわかる。
つまり、Chronicle 2ndでの帝国暦元年~4年の4年間で、ルーナは、
フランドル帝国に立ち寄る⇒ブリタニアに戻り、
かつその過程で視力を失い、
かつ有名にもなっている。
この一連が最長でも4年間の出来事と考えると、結構短期スパンの出来事と言えるのではなかろうか。
結論
ルーナの(Neinの改竄ではない)軌跡は、大まかに下記のような流れだったと推測する。
ブリタニアで生まれ育つ。
エンディミオが行方不明になり、探しに行く旅に出る。
苛酷な旅の過程で神聖フランドル帝国にも立ち寄る。
エンディミオの死を知る。
ブリタニアに戻る過程で視力を失う。
それでも詩を止めず、聴く者の心の闇に希望の光を灯し続けた。
―――
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他にもSound Horizonの楽曲考察記事を書いています。
更新履歴
2023/04/09
初稿
2023/04/19
ふりがな追加
2023/04/25
微修正、サムネイル追加
2023/05/03
歌詞引用元表記修正
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