『未解決事件は終わらせないといけないから』を解決しよう※ネタバレあり
今回は『未解決事件は終わらせないといけないから』というゲームについて、そのストーリーを私が深く理解がしたいがためにまとめていこうと思う。
未解決事件は終わらせないといけないから
Steamからダウンロードできるインディーズの推理ゲーム。
韓国で作られ、日本語含め他言語に翻訳されている。上記は英語版のトレーラーだが、雰囲気はわかると思う。
作者のSomiさんのゲームは、他にも『Replica』『Legal Dungeon』など、評価が高く人気なゲームがある。
推理要素のある、ちりばめられた情報をかき集めて真実に近づいていくというコンセプトが好きな人にはおすすめ。
ここからゴリッゴリのネタバレ全開で書くので、この先を読む場合はその点ご了承のうえでお願いしたい。
あらすじ
行方不明事件そのものの話と、この話を思い出すとある老婆の話があるが、まず行方不明事件そのものの起承転結をまとめるとこうなる。
起:2004年、理佐子が娘犀華の死を受け入れられず、まだ生き続けているという歪んだ認知をし始める。
承:2012年、理佐子が宮城 犀華を娘だと思い込み誘拐。
転:理佐子を庇っていた母貴子と元夫公正によって、宮城 犀華が自宅に帰され、理佐子の娘原島 犀華の死が明かされる。
結:原島 犀華の行方不明事件を未解決とする。
この未解決事件の12年後、とある人物ととある老婆との会話から、この事件を思い出すという視点でゲームが始まる。
(この思い出している二人の関係性でエンディングが2種類に分岐する)
時系列を理解するにあたり、既に死去した原島 犀華と生存している宮城 犀華という、全く無関係な2人の犀華が存在することが重要になる。
時系列:2012年2月より前
2004. 4. 3.
原島 犀華誕生。
この犀華はいわゆる未熟児で、妊娠23週目という早産で、700g未満という超低出生体重児だった。
早く生まれた分母体から受け取れる抗体が少なくなるため、病気にかかると重症化しやすい。
2004. 7. 20.
原島 犀華死去。
ただし母理佐子も父公正も死亡届を出さなかったため、公的には生存し続けている扱いとなる。
2004. 8. 1.
宮城 犀華誕生。
母は沙羅、父は哲郎。原島家とは全く関係のない子供で、名前が同じであることは単純に偶然だったのだろう。
2006~2007年
原島 公正と理佐子が離婚。理佐子が旧姓の松田に戻る。
2008~2009年
宮城家が今の家に引っ越してくる。
2009.7.1.
宮城 哲郎が槙野 恵のヘルパー利用を始める。
2009. 9. 1.
宮城 沙羅(翔太・犀華の母親)死去。
2011. 12.
松田 理佐子のもとに、故・原島 犀華の就学通知書が届く。
これが起因し、理佐子は就学準備のために犀華と買い物に行かねばならないという認識が生まれ、町中の公園を巡って犀華を探すという奇行を始める。
またこの通知書で、理佐子の母貴子が、孫娘の死亡届が出されていないことを初めて知る。
時系列:2012年2月3日
2012. 2. 3. 15:33-15:38
宮城 翔太・犀華兄妹が公園で遊んでいる最中、コアラ会支援センターが槙野 恵に電話し、表彰式の出席を打診する。
恵は電話に出るためにマンションの通路に入る。
※実際、恵はそもそも翔太と犀華から少し離れた場所から見ていた。さらにこの通話もまた事実であるため、犀華が完全に視野の外になった時間帯が生まれている。
2012. 2. 3. 上記と同時刻頃
翔太が犀華を残し文房具店へ行き、アメを買いバースデーカードを万引きする。
(時刻は文房具店員が「3時半過ぎだったと思います」と証言しているため、たまたま恵の通話タイミングと重なっている)
戻ってきたところ、犀華が行方不明になっていることに気づく。
2012. 2. 3. 17:35 宮城 哲郎の証言
警察から哲郎に、公園付近に犀華が行きそうな場所がないかを聞く。
それを、警察が誘拐ではなく迷子だと認識していると考え、食って掛かる。
この時点で、正真正銘の誘拐ならば2時間は経過しており、かなり遠くまで逃げることも可能だ。父親として焦るのも当然だろう。
2012. 2. 3. 17:42 宮城 哲郎の証言
日常の習慣として、翔太と犀華が最近毎日同じ公園に行くこと、近くの文房具屋アポロンに寄ること、その店のアメが好きであることを証言。
2012. 2. 3. 18:10 槙野 恵の証言
清崎刑事はまず、同時刻に公園にいたであろう槙野 恵と宮城 翔太から証言を取ることにしたようだ。
恵は育児ヘルパーで、翔太と犀華と共に公園にいた人物とされる。
犀華を最後に観たのは3時33分であると証言。
2012. 2. 3. 18:13 槙野 恵の証言
着信があったことで時間を覚えていたことを証言。
2012. 2. 3. 18:18 槙野 恵の証言
翔太は犀華を見失ったことを気にしているため、質問をしないでほしいと言う。
2012. 2. 3. 18:32 宮城 翔太の証言
清崎刑事は次に、犀華の兄である翔太の証言を得ようとする。
しかし、彼は清崎刑事に対し無言のまま。
2012. 2. 3. 18:38 宮城 翔太の証言
【嘘】公園で犀華、翔太で一緒にいたと証言。
※実際には、翔太は短時間だが文房具屋に行っている時間があったため、犀華が独りだった時間帯がある。
2012. 2. 3. 18:43 宮城 翔太の証言
これは「背が高い」ことを「お母さんに似たのか」と問われたことに対する反応。
2012. 2. 3. 19:25 アポロン文房具の証言
【嘘】この日は翔太も犀華も来ていないと証言。
※実際には翔太は来店し、アメを購入している。翔太が事件にむやみに巻き込まれることを心配したが故の嘘だった。
ちなみにこの店員は翔太と犀華の母沙羅が既に故人であることを知らなかった。
2012. 2. 3. 19:32 アポロン文房具の証言
3、4年くらい前に引っ越してきた翔太を始めてみたこと、背が高かったことから高学年かと思ったことを証言。
時系列:2012年2月4日
2012. 2. 4. 09:40 栄花市役所からの相談
この時点で宮城 犀華が行方不明になってから18時間経過している。
そのような中、全く別の話題として、市役所総務課から相談の連絡が来る。
未就学児のうち予備招集日に来なかった児童が4人いたこと、世帯別に訪問して確認したことにしても良いか?という話だ。
※この総務課職員は、実際にやるべき訪問をせずに書類を処理する気だった。怠慢。
2012. 2. 4. 10:18 栄花市役所からの文書
予備招集日欠席者リストが届く。その中に故・原島 犀華の名前が確認できる。
ただ清崎刑事の視点では、「今行方不明の娘と同じ名前だな」とは思うだろうが、この時点で原島 犀華が既に亡くなっていることまではまだわからない。
2012. 2. 4. 12:35 松田 理佐子の証言
【嘘】"子供"が寝ているから呼び鈴ではなくノックしてほしいと言う。
今"子供"が眠っていること、昨日は"子供"にサイズの合う服が家になく、あれこれ買い物していたことを証言。
※この"子供"は誘拐してきた宮城 犀華のこと。あれこれ買い物していたのは事実だろうが、そもそも"子供"が実子ではない。
理佐子は認知が歪んでいるため、嘘をついている自覚もない。
これは清崎刑事が市役所総務課からの文書を見て、規定通りに訪問した様子。総務課の誘いに乗って訪問をサボる手もあったはずで、ましてや宮城 犀華の行方不明の捜査中でもあるが、規定通り訪問している。
2012. 2. 4. 12:51 松田 理佐子の証言
【嘘】小学校の予備招集日に出席しなかった理由について証言。
※実際には、実の娘の原島 犀華は既に亡くなっているが、届を出しておらず公的に死が認知されていなかった。そのため小学校の入学予定の児童として登録されてしまっていた。
この後、宮城 犀華が「パパに会いたい」と主張。
これを理佐子は、自分の娘原島 犀華から見たパパである原島 公正と認識し、彼に連絡を入れる。
(実際に犀華が会いたがったパパはもちろん宮城 哲郎のこと)
2012. 2. 4. 13:17 松田 貴子の証言
理佐子とは別で暮らしていること、ときどき立ち寄っていることを証言。
【嘘】孫娘(=故・原島 犀華)は自分と理佐子で面倒を見ているから心配しなくて良いと、市役所にも回答したと証言。
※回答したこと自体は本当だが、回答内容が嘘。原島 犀華が亡くなっているが、理佐子が死亡届を出していないことを知った後であるため、嘘を吐いて理佐子を庇っている。
このときの清崎刑事の事情聴取は、宮城 犀華の行方不明に関してではなく、原島 犀華が予備招集日に欠席した件に関する訪問確認。
松田家で原島 犀華の姿を確認できなかったことや、松田家にいるはずなのに犀華の姓が原島で登録されている点などで不自然に感じたのかもしれない。
2012. 2. 4. 14:25 エデン幼稚園の証言
宮城 犀華の普段の様子として、人見知りせず、兄翔太が迎えに来る日が多かったことを証言。
また、犀華が泣いたり怒ったりすることがないため、その明るさが危うく見えたことも証言。
2012. 2. 4. 15:12 コアラ会支援センターの証言
2/3午後に、ベストヘルパー表彰の授賞式に出席してくれないか確認するために、恵に電話したことを証言。
2012. 2. 4. 15:18 コアラ支援センターからの文書
補助活動証明で、恵の生年月日と、宮城 哲郎を利用者とする育児ヘルパーであることがわかる。
2012. 2 .4. 15:51 栄花市役所からの文書
家族関係証明書で宮城家の家族構成がわかる。
具体的には、翔太と犀華の実母宮城 沙羅が故人であることや、犀華の生年月日がわかる。
(=故・原島 犀華と生年月日が違うため、完全に別人の二人の犀華がいることが確定する)
2012. 2. 4. 16:32 宮城 哲郎の証言
恵が宮城家の育児ヘルパーであることを証言。
2012. 2. 4. 16:39 宮城 哲郎の証言
翔太は母を亡くしたものの、自分なりの方法で乗り越えて来たと信じていると証言。
2012. 2. 4. 16:47 宮城 哲郎の証言
翔太がいつも傘を持って出かけること、それが彼の亡くなったママ沙羅(哲郎の妻)との約束に関係していることを証言。
2012. 2. 4. 17:18 槙野 恵の証言
犀華はママ(亡くなった宮城 沙羅)がこの世で一番かわいそうだと思っているため、自分は泣かないように、泣いて周りにかわいそうと思われないようにしていたと証言。
時系列:2012年2月5日
2012. 2. 5. 12:30 松田 理佐子の証言
理佐子から清崎刑事に電話があり、公園で犀華がいなくなったと言う。
※表向き、この時点では2/3に宮城 犀華失踪事件、2/5に原島 犀華失踪事件が起きたことになる。
実際には、2/3に理佐子が誘拐してきた宮城 犀華を、理佐子の母貴子の要請を受けた原島 公正が2/5に誘拐した。
2012. 2. 5. 12:39 松田 理佐子の証言
理佐子の母貴子がスーパーにいる間に、彼女の自宅で火災報知器が鳴ったこと。
警備員が行ったがドアが開けられないため、自分の代わりに理佐子にドアを開けに行ってほしいと言った、と証言。
※これは実際には貴子が意図的に鍋を火にかけたまま外出し火災報知機を作動させることで、理佐子を外に出し犀華と引き離すことが目的だった。
理佐子が戻ってくると、犀華の姿が消えていたと証言。
2012. 2. 5. 13:28 松田 理佐子の証言
元夫である原島 公正が電話に出ないことを証言。
2012 .2. 5. 13:37 松田 理佐子の証言
犀華がひとりで別のところに行った可能性を否定できないと証言。
自分が寝たきりが多く娘の看病が不十分だったことで、自分が娘から愛されていない・恨まれているのでは?と気持ちを吐露する。
このとき、娘が自分をママと呼んでくれないことも証言。
※実際には誘拐された宮城 犀華から見ると、理佐子は当然母親ではないため、ママと呼ぶわけがない。
いつも町中の公園を巡って娘を探していることを証言。
2012. 2. 5. 13:42 松田 理佐子の証言
数日前に、清崎刑事が見せた男の子(翔太)が"娘"と一緒にいたことを不思議に思ったと証言。
※実際には翔太が妹の犀華と一緒にいただけ。誘拐してきた宮城 犀華を"娘"と歪めて認識している。
2012. 2. 5. 14:10 松田 貴子の証言
【嘘】原島 犀華は一人歩きするが、夜には必ず帰ってくるため大丈夫だという。
※娘の理佐子と義理の息子原島 公正を庇って、事を大きくしないようにするための発言だろう。このとき理佐子は誘拐の真犯人で、原島は理佐子からさらに誘拐する形で宮城 哲郎のもとに宮城 犀華を帰そうとしている。
2012. 2. 5. 14:26 松田 貴子の証言
【嘘】原島 公正とは縁を切ったと証言。
ただし、娘をこっそり連れて行くような人でもないと証言。
※原島を庇い、自分と距離があるように見せようとしている。
2012. 2. 5. 15:13 アポロン文房具の証言
3日に実際には翔太が店に来ていたと認める。
翔太がバースデーカードを万引きしたことを証言する。
2012. 2. 5. 15:32 宮城 翔太の証言
おばさん=恵のこと。
2012. 2. 5. 15:37 宮城 翔太の証言
恵を庇って恵の言うとおりにしていたことを明かす。
2012. 2. 5. 15:41 宮城 翔太の証言
恵がママと呼ばれることを気にして、天国のママが悲しむのではと思い、恵を遠ざけていたことを明かす。
2012. 2. 5. 15:48 宮城 翔太の証言
最近恵を遠ざけていたためアメを買っていなかったことから、久々に犀華にアメを買ってあげようと思いつく。
そのため、犀華を公園に残して文房具屋に行き戻ってきたが、その間に犀華が行方不明になったことを明かす。
2012. 2. 5. 夕方
原島 公正が宮城 哲郎のもとへ、宮城 犀華を送り届ける。
2012. 2. 5. 19:32 原島 公正の供述
誘拐犯として自首。
【嘘】公園で宮城 犀華を誘拐したこと、動機はお金であることを自白する。
※実際の誘拐犯は松田 理佐子。その子をさらに理佐子のもとから誘拐した。動機は理佐子を庇うため 。
2012. 2. 5. 19:36 原島 公正の供述
宮城 犀華を自宅に帰したと供述。
2012. 2. 5. 19:43 原島 公正の供述
【嘘】理佐子と離婚後に転職をした結果、不安定でお金が足りなかったこと、誘拐目的で公園に行き、誘拐したものの怖くなって諦めたと供述。
※実際どれくらいお金に困っていたのかは不明だが、動機ではない。
2012. 2. 5. 19:51 宮城 哲郎の証言
犀華が無事に帰宅したときの様子について証言。
「おばさんち」という表現から、清崎刑事視点では原島の単独犯でないことが確定する。
女性の関与を考えると、原島に近い松田 理佐子・貴子を疑うのも当然。
2012. 2. 5. 20:01 松田 貴子の証言
原島が自首したと知り、自分が原島にやらせたことであると自供する。
全ては自分に責任があると言う。
2012. 2. 5. 20:04 松田 貴子の供述
理佐子の娘、原島 犀華はもう死んでいることを供述。
2012. 2. 5. 20:15 松田 理佐子の証言
貴子経由で、元夫の原島 公正を誘拐を認め自首したことを知る。
原島が養育費の送金を厳しいと訴えていたことを証言する。
※実際には養育費ではなく、彼女の治療費名目で送っていた。
2012. 2. 5. 20:21 松田 理佐子の証言
原島が誘拐犯であることを訝しむ。
公園に不審な女性がいたことを証言する。
※この不審な女性は恵のこと。実際には翔太に傍にいないでほしいと言われたため、少し距離を置いて見守っていただけ。理佐子の認知が歪んでおり宮城 犀華の母親目線になっているが、恵のことは知らないため、このような証言になっている。
このとき理佐子が「公正さんが連れていったその子の名前、なんて言うんですか?」と聞いていることから、誰だか知らないがどこかの子を誘拐した罪の自首をしたらしい、という認識であることがわかる。
2012. 2. 5. 20:39 松田 貴子の供述
理佐子が故・犀華の死亡届を出していなかったことを就学通知書で知ったことを供述。
招集日までに制服を注文するために、犀華が帰って来る必要があるからと公園を巡り始めたことを供述。
2012. 2. 5. 20:47 松田 貴子の供述
翔太が妹を犀華と読んだことで、この宮城 犀華を理佐子が自身の娘原島 犀華と認識してしまったこと、誘拐してきてしまったこと、義理の息子原島に助けを求めたことを供述。
2012. 2. 5. 21:40 原島 公正の供述
清崎刑事が、真犯人が理佐子であることを指摘。
貴子が真実を供述したことを伝える。
原島は、娘に犀華という名前を付けたことが良くなかったのではないかと言う。
2012. 2. 5. 21:58 原島 公正の供述
動物のサイの強さを込めた名前であることを言う。
2012. 2. 5. 22:13 原島 公正の供述
原島 犀華が生後108日後に亡くなったこと、そのぬくもりが眠っていた場所に残っていたため、死亡届を出せなかったことを証言。
2012. 2. 5. 22:20 原島 公正の供述
理佐子とは5、6年前に離婚したことを証言。
2012. 2. 5. 22:43原島 公正の供述
理佐子が出した原島 犀華としての失踪届を未解決事件にしてほしい、それによって娘を生きていることにさせてほしいと懇願する。
2012. 2. 5. 21:10 原島 公正の供述
清崎刑事に拒否されるも、食い下がる。
時系列:2012年2月6日
2012. 2. 6. 10:20 槙野 恵の証言
通話のために背を向けていたという証言が嘘であることを認める。
自分が犀華を見失ったことを認める。
※実際に通話記録があり、コアラ会支援センターも電話をかけたことを認めているため、実際に通話はしたはず。ただしその通話で目を逸らしただけではなく、そもそも翔太と犀華から少し距離があった上に、背伸びしないと見えない位置にいた。
2012. 2. 6. 10:27 槙野 恵の証言
自分が周りから翔太や犀華のママと誤認されること、翔太にとってのママ(沙羅)は別にいるため、近寄らないでと言われたこと、そのため少し離れたところからつま先立ちして見守っていたと証言。
2012. 2. 6. 10:38 槙野 恵の証言
清崎刑事から、翔太が恵のためにバースデーカードを選んでいたことを聞く。
2024(現在)
刑期を終え、出所してもなお精神が不安定な理佐子の元に、清崎(警察を退職済)が訪れる。
嘘を吐いた人達
松田 理佐子は娘が生きているという幻想にとらわれて、その幻想に合うように現実を歪めて認識していた。その結果、特に犀華に関しては自覚なく嘘を吐いていた。
原島 公正は娘の死を認識しつつも、公的な処理には踏み切れず、結果として今回の理佐子の事件につながってしまった。
理佐子を庇い、娘の存在を生きているかのようにするために嘘を吐いた。
松田 貴子は娘の理佐子が孫の死亡届を出していないことに気づいたが、すぐに正すことも出来ず、娘の認知の歪みに付き合った。
そして娘が誘拐事件を起こしても、義理の息子公正を頼り何とかしようとした結果、娘と義理の息子を庇うために嘘を吐いた。
槙野 恵は翔太を尊重し、育児ヘルパーでありつつも子供達と少し距離を置いた。その結果犀華が行方不明になったため責任を感じつつ、翔太が恵を遠ざけたことでこうなったのではと動揺する翔太を思い、自分のアリバイについて嘘を吐いた。
宮城 翔太は恵を嫌っているわけではないが、ママと言われることも受け入れられず、恵を遠ざける態度をとった。さらに犀華のためにと思ってアメを買いに行って戻った、つまり目を離したところ、犀華が行方不明になってしまった。
自分のせいで犀華が行方不明になったのではないか、恵が辛い立場になるのではないかと考え、本当のことも含め何も言わないという形で嘘を吐いた。
文房具店の店員は、翔太が事件に関わっていると思われたくなくて(そしておそらく万引きについてもおおごとにしたくなくて)店に来ていないと嘘を吐いた。
栄花市役所総務課の職員は、予備招集日に来なかった児童の家の訪問を、警察と共にやったフリするという嘘を吐いて、実際はやらないまま終わらせようと持ち掛けて来た。
各自が各自の思惑のもと吐いた嘘が重なって、宮城 犀華の誘拐事件に発展した。しかし、清崎刑事が刑事としての職務をサボらず全うし、偶然ながらも松田 理佐子との接点ができたことで、理佐子から直接清崎刑事に話が通り、無関係だったはずの2人の犀華が繋がってしまったことが明るみに出たのだった。
とりあえず市役所総務課職員は事件とか関係なくただの怠慢だから直ちに是正してほしい。
感想
斬新パズル
まるでパズルのように、誰の発言かもわからない台詞を並び替えていくシステムは斬新だった。
序盤は犀華が2人いることがわからないため、父親っぽい発言が妙に多いわりに繋がらない?とか(宮城 哲郎の発言と原島 公正の発言が混ざる)、松田 理佐子は犀華の母親らしいが、夫が哲郎のイメージとは合わない?とか(元夫は公正だから)とか、少しずつ違和感が出てくる。
どうにかこうにか繋いでいって、どうも"父親"が2人いる?という点や、犀華の姓が2種類ある点に気づいたときは、ああなるほど!と目の前が晴れやかになるような、すっきりした感じがあった。
洗練されたデザイン
デザインの取捨選択も素晴らしいと思う。
昨今まるで実写化と見間違うほどリアリティのある3D映像のゲームもあるが、このゲームはドット絵がメインだ。
そして使っている色味もかなり少ない。だからこそ、鍵となる箇所が目立っていた。
これは先日紹介した『和階堂真の事件簿』にも共通することだが、華美さはなくてもわかりやすく、真に伝えたいことであろうことが伝わってくる。
このゲームのような、少しずつ謎を解き明かしていくゲームを今後もやってみたいと思う。
サムネイル及び記事中の画像:©2024 Somi