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Sound Horizonの考察・調査記事まとめ

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ニンニ リズが書いた、Sound Horizonの楽曲や世界観に関する考察や調査記録記事のまとめ。
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2024年2月の記事一覧

【SH考察:079】冥府の扉を開いた「或る男」は誰か

Sound HorizonのMoiraにて、『神話の終焉』では、それまでエレフセイアという叙事詩の中でさんざん人物名が登場してきたにもかかわらず、なぜか「或る男」と濁されている人物がいる。 今回はこの「或る男」が誰かを考えてみよう。 対象6th Story Moiraより『神話の終焉 -Τελος-』 考察まず文章の意味を整理しよう 或る男について考える前に、或る男が登場する文章全体の意味を整理したいと思う。 この部分は前半が比喩、後半がその比喩の意味を表していると

【SH考察:078】『黒き女将の宿』の娘の出身地

Sound Horizonの『黒き女将の宿』にて、復讐を願う屍人姫の一人である田舎娘がいる。 彼女が生きた地域の情報が曲中にちりばめられているため、いつの時代にどこで生きていたかがおおよそ特定できそうだ。 対象7th Story Märchen より『黒き女将の宿』 考察時代と地域の特徴 この曲の復讐を求める屍人姫になる娘は名が判明していないため、便宜上ただの「娘」と呼ぶ。 『黒き女将の宿』は娘自身と周辺地域、時代に関する情報・特徴が結構たくさんちりばめられている。

【SH考察:077】"神聖"帝国からみるサンホラにおける宗教観を共有する地平線(後編)

1つ前の記事で、Sound Horizonの宗教観の理解を深めるため現実のヨーロッパの歴史や宗教観と照らし合わせた。 今回は、サンホラの世界の中でも宗教観が現実と大幅に異なる地平線と、現実に近い地平線がある点から、地平線を分類しつつ世界観への理解を深めていこうと思う。 対象Sound Horizonの楽曲すべて 考察キリスト教の世界と黒の教団の世界 前回整理した内容から、少なくともChronicle 2ndの世界は黒の教団が存在しカトリックは存在しない(か、存在が極め

【SH考察:076】"神聖"帝国からみるサンホラにおける宗教観を共有する地平線(前編)

Sound Horizonの世界観における歴史を語る際に、Chronicle 2ndには重要な史実と思われる事象が大量に含まれている。 今回はその中でも特に神聖フランドル帝国の位置づけを中心に、彼らの宗教観を現実と照らし合わせながら理解していきたい。 対象1st Renewal Story Chronicle 2ndほぼ全曲 考察舞台となるガリア Chronicle 2ndでは、「ガリア」と呼ばれる地が舞台となる。 「ガリア」は国の名前ではなく広域を指す地域名?のよ