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Sound Horizonの考察・調査記事まとめ

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ニンニ リズが書いた、Sound Horizonの楽曲や世界観に関する考察や調査記録記事のまとめ。
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2023年5月の記事一覧

【SH考察:024】雷神になる英雄とその末裔達

Sound Horizonの楽曲のなかで、雷神シリーズは3曲もあるが、クロセカに閉じているせいかあまり最近考察を見かけない話。 そのため、3曲にわたって何が起こったのか、事象と時系列を整理した。 対象曲Chronicle 2ndより『雷神の右腕』『雷神の左腕』『雷神の系譜』 考察時系列 時系列は『雷神の右腕』⇒『雷神の左腕』⇒『雷神の系譜』の順。 それぞれで1回ずつ嵐が起こっている。 1. 遥かなる時の彼方(≒かなり昔?) 要約: 邪悪な神々が楽園と呼ばれた地を破壊。

【SH考察:023】お守りの柄にも意味がある

Sound Horizonの「7.5th or 8.5th Story Concert『絵馬に願ひを!』~大神再臨祭~」(長いので以降絵馬コン)では、コンサートグッズとして、登場人物の願ひにちなんだお守りが6種類ある。 6種類それぞれ異なる柄が使われているが、なぜその柄なのか意味があるようだ。調べた結果をまとめた。 考察お守りと吉祥文様 6種類のお守りはいずれも布地の色や模様が異なるが、特に模様の方はちゃんと意味がありそうだ。 縁起が良いとされる文様、吉祥文様というもの

【SH考察:022】詩女神六姉妹の名前と配色の由来

Sound HorizonのアルバムMoiraに登場する詩女神六姉妹。創世の三楽神の末妹神ハルモニアの娘達。 彼女達の名前の由来は、既にいろいろな人がまとめていることではあるが、私が一か所に情報をまとめたいというわがままで、自力でもまとめておく。 出来るだけ音楽的な知見が無くても理解できるように努めた。 対象曲6th Story Moiraより『神話 -Μυθος-』 考察教会旋法 六姉妹の名前の由来は、教会旋法が由来の可能性が高い。  そもそも旋法とは とてもざっく

【SH考察:021】地図と学ぶイベリア半島の勢力入れ替わり

Sound Horizonのシングル『聖戦のイベリア』、中でも特に『侵略する者される者』では、レコンキスタ完了までの流れが描かれている。 世界史を履修する際に助かる要素だ。 とはいえ教科書で扱われる量にも限界があるため、今回はもう少し細かめに、かつ地図上で勢力図を確認しながら、視覚的にわかりやすくなるようにイベリア半島の勢力変化を確認していく。 対象曲Story Maxi 聖戦のイベリア より『侵略する者される者』 考察紀元前6~5世紀:イベリア人居住地にケルト人が流入

【SH考察:020】黒き死を「遡る」は「逆流する」ではない

Sound Horizonの楽曲『宵闇の唄』に登場するセリフ。 実は当初、私はこの「遡る」の意味を取り違えていた。 この「遡る」、逆流するという意味ではない。 その根拠と、楽曲が意図したであろう解釈・意味をまとめた。 対象曲7th Story CD Märchenより『宵闇の唄』 考察引用された楽曲 まずは、『宵闇の唄』内で引用されている各楽曲が、いつ誰によって作られたものなのかを確認する。 このセリフの後に連続で4曲、さらにその後ドイツ語のセリフを経てもう1曲引用

【SH考察:019】ミシェル マールブランシェの生涯とその特殊性

Sound Horizonの考察で外せない人物、それがミシェル。 みんな大好き……というよりは、気配だけでも出てくると即不穏になる、そんな畏れ多い存在。 今回はそんなミシェル マールブランシェの生涯を追いながら、彼女のが持つ特殊能力の性質を探る。 対象曲なんせ関連しそうな曲が多い。厳密には他にも関連曲はあるが、今回はより露骨にミシェルが出ているものをピックアップした。 2nd Story CD Thanatosより『そこに在る風景』 2nd Pleasure CD Pi

【SH考察:018】「檻」が意味するものは何か

Sound Horizonの世界でたびたび登場する「檻」。 だがこの「檻」は、本当の牢獄としての檻ではなく、明らかに何かの比喩表現として使われることが多い。 私はこの「檻」の比喩表現として、人間が生まれてから死ぬまで、すなわち寿命や人生という意味で使われることが多いのではないかと考えている。 以下でその理由を述べる。 対象曲LostまたはPico Magic Reloadedより『檻の中の遊戯』 Pico Magic ReloadedまたはElysion-楽園への前奏曲