悲しみに暮れマンデー

 月曜、久しぶりに恋愛ドラマを見た。「今日は帰ったら絶対にドラマを見る、残業とかは絶対にしませんよ今日は」と思いながら仕事をこなしてしっかりと残業をしつつも、放送時間の30分前にはばっちりスタンバイは完了していた。こうしてドラマに向き合うのは半沢直樹以来だったと思う。

 かいつまんでドラマの内容をいうと、恋愛未経験の27歳女子が恋愛刹那主義(いいように謳っているが誰とでも寝るの意)のシェフと恋に落ちる的なあらすじだった。
 楽しみにしていた理由は主演が私の好きなアイドルで、ヒロイン(こっちが主演?)もこれまた私の好きな女優さんだったからである。私は好きなアイドルが恋愛ドラマをやるのには全然大歓迎、むしろもっとやってください派のファンなので本当に楽しみだった。
 あとは、私の顔が主演の女優さんとは似ても似つかないという点を除いて、ヒロインと共通項が多かったというのも惹かれた理由の一つだ。

 このドラマの制作が発表されてから、一日一日と待ち遠しくて、その間にも楽しいことは多くあったのだけれど、とにかく特別格段に楽しみにしていた。月曜をるんるん気分で迎えたのは、バイトと部活に追われて月曜しか一日休みがなかった大学時代以来だったと思う。

 結果、かなり物足りない気持ちで第一話を見終えた。これは100%物語の受け取り手である私に原因があって、ドラマ自体はなにも悪くないと思う。Twitterで検索してみたらすこぶる好評だったから、私の受け取り方が良くなかったのだと確信した。

 原因はいくつかあると思う。1つはドラマを見ることが久しぶりで、ドラマ独特のテンポについていけなかったこと。
 第一話の1時間ちょっとの間でヒロインは主演のシェフと出会い、過去に恋焦がれていた先輩と再会し、過去に恋焦がれていた先輩に失恋し、過去に恋焦がれていた先輩の結婚式二次会の司会を務め上げ、主演のシェフとはハグされる関係性に発展していた。現実の時間軸(1時間ちょっと)で描き切るスピード感で合ってる???と途中から頭は軽パニックを起こしていた。

 これに関連した原因ではあるけれども、小説を書くことが習慣付いたこともちょっとは影響している気がしている。私の場合だけれどワンシーンを書くのに何日も悩んで書いては消し書いては消しを繰り返し、現在書いている話でいうと、原稿用紙40枚ちょっとで主人公はまだほとんど、誰ともなにも発展していない。(良し悪しは審査員のみぞ知るところではあるのだけれど)私の書く話は総じてこういう話が多いから、色々なシーンや人間模様が詰め込まれているドラマを久しぶりに体感して、それらを放送時間内に自分の中で消化しきれなかった。

 あとは単純に、恋愛経験がほとんどないままこの歳になってしまったからというのも大きい。ヒロインも27歳で恋愛経験なしだという設定だけれども、27年間なにもなかった女が急に出会ったばかりの男に「なぐさめてあげようか?」などと言われて抱きしめられることなんて100ない。100ないのである。いや、顔が可愛かったりスタイルが良かったり愛嬌があったりすればあるのかもしれない。私はその特徴のどれも持っていないから、100ないとさせていただく。こういう経験のなさが、ドラマの多くのシーンを斜めに見させるのである。

 期待通り楽しめなかったことが悔しくて悲しくて、どうしても恋人が欲しいとかではないのに、もう一生恋愛することはないんだと謎ネガティブを発動させて眠りについた。ここ最近でいちばん浅い眠りだった。
 翌日、同じ職場のパートさんにお昼ご飯を食べながらその話をしたら「それは歳をとった証拠だよ」と言われた。私だけじゃないんだと安心した。安心したと同時に、私だけが感じている特別な感情ではなかったのだと、なぜかちょっとだけ、ほんのちょっとだけ残念な気持ちが沸き上がった。

あと恋人は一生できなくてもいいから小説家になりたいと思った。

Help! / The Beatles

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