印刷の基本② 中級者編 印刷用データ入稿のやり方をマスターしよう
印刷データの作成は、かつてはデザイナーなどが行っていたプロフェッショナルな仕事です。印刷用データを作るときに「完全データ」とか「塗り足し」とか「ノド」とか、聞き慣れない業界用語にちょっと焦った方もいるのではないでしょうか?
修正や追加料金なしでイメージ通りの印刷物を作るためには、まずは入稿の流れを、押さえておきたいところです。
この記事では、代表的なDTPソフトであるイラストレーター(Adobe Illustrator)を使った印刷用データ入稿のやり方についてご紹介します。
「データ入稿のやり方 初心者編」と合わせてご覧いただくと、より理解が深まりますよ。
2031年に創業100年を迎える東京新富町の紙製品メーカー・山櫻が、入稿データのやり方をわかりやすくお伝えします。
【いまさら聞けない!】イラストレーターって何ですか?
ここからは、アドビ社のDTPソフト、イラストレーター(Illustrator )で完全データを作るときに知っておきたいポイントをご紹介します。
h3:AIファイルとは、なんですか?
AIファイルとは、「Adobe Illustrator」の頭文字を組み合わせたネーミングで、「アドビ(Adobe) 社が提供するイラストレーター(Illustrator )というDTPソフト」固有のファイル形式です。
AIファイルの主な特長は、次のようなものです。
このような特性から、印刷用の完全データを作るのに適したファイル形式になっています。
AIファイルとPDFを比較すると?
AIファイルがイラストレーターで編集できるのはもちろんのこと、PDFファイルもイラストレーターで編集することができます。
ここで改めて、それぞれの特性をまとめておきましょう。
PDFファイル:
・イラストレーターがなくても閲覧できる
・編集機能を保持できる
・一般的な印刷データ入稿に対応
AIファイル:
・イラストレーターがないと閲覧できない
・イラストレーター専用の編集データを保持
・高度な編集やデザインの再利用に適している
このような特性から、AIファイルは、次のような用途で利用されます。
そのクオリティの高さから、とくに企業ロゴや印刷物は、AI形式での入稿が推奨されています。
データ入稿のやり方・中級者編
ここからは、イラストレーターを使った入稿のやり方について解説します。
イラストレーターを使ったデータ作成のポイント
イラストレーターを使った入稿データのポイントは、次のようなものになります。
仕上がりサイズとトリムマーク(トンボ)を設定する
イラストレーターでは、作成するデータのサイズとトリムマーク(トンボ)を設定する必要があります。
トンボは印刷物を正確にカットするための目印となります。
ネットの印刷サービスによっては、テンプレートが用意されているところもあります。用途によってテンプレートを選ぶことで、サイズやトンボも、自動的に設定されます。
画像を「埋め込み」配置する
印刷物に画像を入れるときは、「埋め込み」という設定を行います。
埋め込み画像はファイルサイズが大きくなりますが、リンク切れの心配がありません。一方、リンク画像はファイルサイズを抑えられますが、画像ファイルが移動するとリンク切れが起こります。
フォントは、アウトライン化する
テキスト(フォント)はアウトライン化(文字を図形化)してから「別名で保存」します。
この設定により、印刷会社がそのフォントを持っていなくても、デザインが崩れることなく印刷することが可能になります。
カラーモードはCMYKで作成する
イラストレーターの印刷用データはCMYKカラーモードで作成します。CMYKは印刷に適したカラーモードで、RGBと比べて色の再現性が高いからです。
イラストレーターで入稿データを作るときの注意点
イラストレーターで入稿データを作るときの注意点は、次のようなものです。
データの保存は、英数字で
オリジナルデータとは別に、入稿用のデータはアウトライン化を行ったファイルを保存して下さい。
ファイル名は、英数字でファイル名にすることが前提です。
特色を使うときは、オブジェクトへカラーを設定する
規定色以外の特色を指定するには、オブジェクトへカラーを設定する必要があります。
印刷会社によっては、オプション扱いになり、別途、追加料金が発生する可能性もあります。
印刷・加工の指示を作成する
トリムマークの外側には印刷や加工の指示を記載します。
これにより印刷会社が正確に作業を行えるようになります。
以上、印刷用のデータ入稿は、イラストレーターのほかにも、フォトショップ(Adobe Photoshop)などがあります。
ソフトの特性を活かして完全データ入稿を行うことで、スムーズな印刷プロセスと高品質な印刷物が手に入りますよ。
ワードやパワーポイント(Microsoft Word/PowerPoint)を使ったデータ入稿のやり方は、こちら(リンク)で紹介しています。
「印刷用入稿データのやり方 中級編」まとめ
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