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印刷技術、温故知新。歴史をおさらい。未来はどうなる?

印刷技術は、2000年近く、文化、文明の発展に貢献してきました。
インターネットが出現する前は、情報を大量生産できるテクノロジーとして、メディアを支える支柱だったのです。
ネット全盛の現在、印刷技術は新たな役割を担っています。
この記事では、2031年に創業100年を迎える東京新富町の紙製品メーカー・山櫻が、印刷の歴史を振り返りながら、21世紀の印刷技術の役割についても考察します。



印刷、その技術のはじまり

ここからは、印刷技術の黎明期の逸話をご紹介します。

中国から始まった印刷技術

印刷には、長い歴史があります。中国では紀元前2世紀頃から、樹皮や麻などから紙を作る技術が発明され、7世紀には、本格的な木版(もくはん)印刷が広まります。
木版(もくはん)とは、その名のとおり木のかけらで、文字や絵画などを反対向きに彫刻して印します。版画や浮世絵の原理ですね。現在では、この木版印刷が印刷の源流と考えられています。
ちなみに、木版印刷として現存する最古のものは、9世紀に作られた経典です。

日本の印刷技術の始まりは?


奈良・法隆寺には、世界最古の印刷物が保管されています。
その名を「百万塔陀羅尼(ひゃくまんとう-だらに)」と言います。
これは、奈良時代の時の天皇が、戦で亡くなった死者の魂をなぐさめ、鎮護国家を祈念する目的で作られました。経文を100万枚印刷し、その印刷した経文を木製の小さな塔100万基に納めました。その小塔は、法隆寺や東大寺など各地の名だたる寺に分置されたそうです。
経文と小塔の制作期間には、実に、6年近い年月を費やし、157名の技術者が関わったという記録が残ります。当時の一大プロジェクトだったことがうかがえます。
ところで、100万枚という、膨大な数の経文は、どうやって印刷されたのでしょうか?
その印刷方法については、版木に経文を彫って印刷した木版説と、銅版に文字を鋳造(ちゅうぞう)する銅版説があり、そのどちらであるかは現在にいたってもわかっていません。
いずれにしても「東洋における印刷物のルーツは経典だった」という点が興味深い点ですね。

グーテンベルクの情報革命

8世紀になると、中国からヨーロッパへも紙の製法が伝わります。
14世紀には木版印刷が始まり、ついに、1445年には、ドイツ人のヨハネス・グーテンベルクが活版印刷を発明するにいたります。
グーテンベルクのこの発明によって、本の大量生産が可能となり、人々の識字率が大きくアップしました。庶民が読み書きできるようになったことに加えて、同時期に起こったルネッサンス(文芸復興)も後押しします。
新しい思想、技術、文芸といったさまざまなジャンルの本が出版されるようになり、それまでは一部の貴族階級のものだった知恵や知識が、大量に、正確に、迅速に広まるようになります。
印刷技術が、情報を民主化したのです。この情報の民主化によって、文化や文明が発展し、社会が大きく変わっていきます。
こうして見てくると、中世ヨーロッパの人々が活版印刷の登場で受けた衝撃に既視感を感じませんか?
それは、いまを生きる私たちが経験してきたインターネットの登場、スマホの登場、そしてAIの登場に近い衝撃だったのではないかと想像ができるのです。

20世紀の印刷技術の進化

ここからは、20世紀に入ってからの印刷技術の進化についてご紹介します。

オフセット印刷と写植機の台頭

グーテンベルクから時は流れて、20世紀に入ると、印刷技術はさらに進化を遂げます。
まず20世紀初頭に、アメリカでオフセット印刷が誕生します。大正13(1924)年の日本では、写研(石井茂吉)とモリサワ(森沢信夫)によって、和文の写真植字機が開発されます。写真の原理を利用した写植機が、世界で初めて実用化されたのです。
活版印刷は、鉛でできた活字の凸部分にインクを着け、紙に転写する印刷方式です。それに対して写植機は、ネガの状態の文字を印画紙やフィルムに印字するという手法です。活版印刷に比べて、大幅な省スペース化を実現したのです。
この写植機の発明も後押ししたのか、昭和6(1931)年、銀座の木挽町には「市瀬商店」という会社が創業します。名刺・葉書・挨拶状等台紙類の販売を
行う、代表者の名前を冠したこの会社が、後の株式会社 山櫻となります。
やがて、高度成長期には、ポスターなどの商業印刷が急増し、写植機と
オフセット印刷の組み合わせによる印刷が黄金期を迎えていきます。

21世紀、デジタルの世紀での印刷とは?

ここからは、21世紀デジタル時代の印刷技術と、未来の印刷の役割について考察します。

オフセット印刷からオンデマンド印刷へ

21世紀を目前に控えた1990年代に入ると、オンデマンド印刷が登場します。
オフセット印刷は、入稿データを金属の板に焼き付けて版(はん)を作り、版に印刷データを焼き付けます。一方、オンデマンド印刷は、版(はん)はつくらず、デジタルデータをレーザー光線で焼き付けます。
オフセット印刷が、印刷部数が多いほど単価が下がるのに対して、オンデマンド印刷は、低価格、短納期で「手軽な印刷」を実現します。
オフセット印刷は、版をつくる分、高価格ですが、その分、品質の安定性と一定のクオリティが担保されます。オンデマンド印刷では、小ロット、低価格を実現できます。また近年では印刷クオリティも向上しオフセット印刷と遜色のない高品質な製品も登場しています。

オフセット印刷
・大量印刷であればあるほど単価が安くなる
・大量印刷でない場合は、コスパが悪い
・一定のクオリティがある
・オペレーターの経験・技術が必要

オンデマンド印刷
・小ロット・多品種生産可能
・低価格
・短納期に対応
・印刷機械等の専門知識は不要

デジタル印刷の時代 

その後、コンピュータの普及によって、DTP(Desktop Publishing:デスクトップ パブリッシング)やCTP(コンピューター・トゥ・プレート:Computer To Plate)など、パソコンで印刷物を作成したり、作成した印刷データを出力したりすることができるようになりました。
インターネットの普及によりデジタルデータが当たり前になったことで、印刷技術はさらに民主化へと進み、グーテンベルク以来の情報革命が起こっているのが、現代だと言えるでしょう。

21世紀の印刷物の役割とは?

多くの情報がデジタル化される昨今、印刷物のニーズは減少しつつあります。
そうは言っても、すべてがデジタルメディアに取って代わることはないでしょう。
印刷物独自のメリットや効果が厳然としてあるからです。
印刷サービスのメリットの一部をご紹介していきましょう。

ダイレクトマーケティング
郵送で見込み客の懐に直接飛び込むダイレクトメール(DM)は、従来どおり、ダイレクトマーケティングの有効な手法です。

コミュニケーション/ブランディングツールとしての名刺
名刺は、利便性だけではなく、自分という個性を伝えるツールとして活用できます。
紙の種類や印刷方法にこだわることで、名刺をブランディングツールとして活用することができるのです。

エシカル製品としての印刷物
印刷物のなかでも、人や社会、地域、環境などに優しいエシカルな製品も増えています。印刷物を通して、エコシステムについて考えを深めることも可能です。

「コストと効果、そして環境とのバランスを考えた印刷物の最適化」
これが、21世紀の印刷技術に求められているキーワードと言えるでしょう。

「印刷技術」まとめ

印刷技術の歴史とは?
・中国では7世紀から木版印刷技術が盛んに作られるようになった
・15世紀のグーテンベルクの活版印刷の発明によって、情報が民主化された
・20世紀は、オフセット印刷と写植機の時代
・21世紀は、DTP、オンデマンド印刷など、印刷はデジタルとの融合で生き残った
21世紀の印刷物の役割とは?
・ダイレクトメール
・コミュニケーション/ブランディングツールとしての名刺
・エシカル製品としての印刷物

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