第89話：お母さんのオチンチン？

［子育ての記憶と記録］

子どもがまだ小さい頃の話。

だいたいの子供はそうではないかと思うが、やたらと疑問を連発する時期があった。
答えるのに随分難しいのもあって、例えば、

お母さんのお母さんはオバアチャンなんだけどオバアチャンのお母さんは誰なの？

などと言う。

「それはオバアチャンを生んだ人だよ」と言うと、

じゃ、オバアチャンのお母さんのお母さんのずーっとずーっとずーっと前のお母さんは誰なの？

と言う。
人類の祖先は誰かという疑問かもしれないと思い、「サルじゃないか」と言うとキョトンとしていた。

かと思えば、

地球は丸いんだよね。でも地面は平らだよね。なのに、どうして地球は丸いの？

と言う。

「それはね。地球がうんと大きいんで丸いんだけど平らに感じるんだよ」と核心からズレた説明するが納得出来ないようで、
「でも地面は平らだよね」などとつぶやいている。

困ったことに

どうして女の人にはオチンチンがないの？

などと言ったりする。

「オチンチンは男だけにあるので、女の人にはないの。オバアチャンにもお母さんにもないでしょ」とわけの分からない解答をすると、

ううん。オバアチャンにはないけど、お母さんにはあるよ。

などと衝撃的なことを言う。

さては俺はオチンチンのある人を嫁さんに貰ってしまったかと一瞬たじろいだが、このあいだしげしげ見たら、やっぱりオチンチンはついていなかったので安心した。

子供は何を思い、何を言い出すか分からない。空っぽだからいろんなものを持っている。不思議な生き物である。

（土竜のひとりごと：第89話）