見出し画像

産みたくないと言ってもいいですか?〜命懸けの妊娠出産〜35

ラーメンを食べた後日、28週の妊婦健診にきていた。

「前回糖負荷検査を受けていただいた結果が出てます。結果から言いますと妊娠糖尿病という結果です。」

「え!!」

「空腹時92mg/dL以上、1時間後180mg/dL以上、2時間後153mg/dL以上の場合妊娠糖尿病となりますが空月さんの場合2時間後の血糖値が引っかかってます。空腹時1時間後2時間後の一個でも引っかかったら妊娠糖尿病という事で、これから血糖コントロールしてもらわなければいけません。」

まさか、自分が妊娠糖尿病に引っかかるとは思っていなかった。だって、糖尿とか言われたことなかったし、毎年健康診断受けて血糖値の正常だったのに…。

「この後、内科の方に行ってもらって妊娠糖尿病のこと聞いてください。」

「はい…。」

(なんで!?今までつわりで偏った食生活してたから?運動出来なかったから?何が悪かったんだろう…。)

「でも赤ちゃんはすごく元気ですよ!」

エコーにはお腹の中で動き回る赤ちゃんの姿が映し出されていた。私は俯いてあまり見ることが出来なかった。そんな私に助産師の膳所さんは

「不安なこと、しんどい時はどんなことでも相談してくださいね。」

と言ってくれた。私は産科を後にし、内科に行った。程なくして呼ばれると

「空月さん、妊娠糖尿病ですね。」

メガネをかけた快活そうな女性の先生は

「妊娠するとインスリンが出にくくなり血糖値が上がりやすくはなるんですが、血糖値が上がり母体から糖がお腹の赤ちゃんに行きすぎて、出産後赤ちゃんが低血糖になったり、巨大児になってしまったり、母体の方も妊娠高血圧症候群や羊水量が増加したりしますのでしっかり血糖値コントロールしていかないといけなくなります。」

「妊娠糖尿病は世間で知られている糖尿病とは違って今までの食事が悪かったからとか、生活習慣病とは関係なく糖尿病の因子を空月さんが持っていて、今回妊娠したことによって赤ちゃんが糖尿病になりやすいから気をつけてねと知らせてくれたということですから。いい子ですね。」

先生はにっこりと笑ってこちらに目を向けてくれた。

「では、これから毎食後血糖値を測ってもらって空腹時100md/dL以下、2時間後の120md/dL以下になるようにしっかりコントロールしていきましょう。血糖値の測り方は指先から少し血を出して測定器にその血をつけると血糖値が出てきますので。」

私はその場で血糖値測定用機械の使い方を教えてもらい試しに測ってみた。

「これを毎食前、毎食2時間後に測ってもらいます。その値をこちらのノートに記載して受診の時にもってきてください。空月さんの場合、インスリン自己注射はせずまず、食事改善で様子を見て今後インスリンが必要か考えていきましょう。」

「この後栄養士から説明とどういった食事がしていくのか聞いてください。」

(疲れた…けどまだ帰れないのか。)

と思い次は栄養相談室に行く。

「空月さんの普段の食生活を教えてください。」

「27週までつわりで食べれるものが限られてました。つわりが治ってからは野菜中心の生活です。朝パンとサラダと目玉焼きかウインナーとかとノンカフェインのコーヒーか紅茶、昼はご飯と魚焼いたりおひたしとか、夜はご飯と煮物と一品とメインでお肉か魚と汁物とかですかね。」

私はつわりが期間が長かったのでつわりが終わってからは出来るだけ健康にいい食事を心がけていた。

「間食はどうですか?」

「します。だいたいクッキーを2袋くらい。」

「そうですね、結構いい食事をされてるのでそのまま行きましょう。ただパンを6枚切りなら半分とかご飯は半膳とか少し減らしてもらって、2時間後の血糖値を測ってから間食をしてください。牛乳とクッキー1袋とかチーズとか。分食といって一回の食事量を減らして食事回数を増やして血糖値が急激な変化をしないようにしていきましょう。また分からないことがあれば聞いてくださいね。」

「これから大変かもしれませんがなんでも相談してくださいね。」

私はお礼を言い相談室を出ると朝の妊婦健診からすでに4時間が経っていた。

(つ、疲れた…、とりあえず帰ろう。昼ごはんは家に帰ってからにしよう…。)

私はヘトヘトになりながら運転して帰った。その日からもっともっとしんどい日々が続くとは思っていなかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?