世界の「女性×てしごと」を訪ねてVol.4~マイノリティへのまなざし/マレーシア~
先住民族の村を訪ねて
女性×てしごとを訪ねる旅。第4弾はマレーシアです。2018年1月にクアラルンプール郊外のオラン・アスリの村へ、女性たちのてしごとの現場を訪ねました。オラン・アスリ (Orang Asli) は、マレー半島の先住少数民族。「オラン」はマレー語で「人」「アスリ」は「本来の」という意味。
案内してくれたのは、Earth Heirの創業者サシバイ(サシ)キミスです。
クラフトマンシップを伝えたい
Earth Heirの創業者サシバイとは、タイで開催されたアジア女性社会起業家ネットワークのカンファレンスで出会いました。
カンファレンスの場でもスマートな立ち居振る舞いが際立っていて、思わず声をかけました。インド系マレーシア人で、ロンドンに留学、ニューヨークで金融ウーマンをしていたけれど、マレーシアの課題解決をしたいと帰国し、起業したと語ってくれました。
マレーシアの先住民族などによる伝統工芸をモダンにアレンジし、『Earth Heir』というハイブランドとして展開しています。
先住民族のくらしとてしごと
今回、訪れた村は、クアラルンプール近郊にあり、都市部の暮らしとの格差は比較的小さいとのこと。マレーシアの山間部の先住民族の村では、教育や経済にアクセスできない人々も少なくないといいます。
※先住民族の課題については日本語文献が少ないのですが、、、google earthサイトで特集がありました。
今回訪れた村では、メンクワンと呼ばれる植物を細く割いて、繊細なかご細工を作っています。
なお、そらとひとで扱っているリサイクルプラスチックバッグは、ボルネオ島サラワク州にある先住民族の村で作られています。
伝統的なかご細工を活かしながら、素材をカラフルなプラスチック紐に変えることで、ファッションアイテムとして、Earth Heirのアイコン的商品となっています。
マイノリティへのまなざし
そらとひとの前身「Will Gallery」にサシが来てくれた際の写真がこちら。この時、サシと「サシ」で笑 ランチをしました。
話題は、日本のジェンダーギャップについて。
「日本の女性は第一子妊娠・出産で5割が離職する」というデータを紹介したところ、「日本は、江戸時代かーーーー?」とリアクションした彼女。
それぞれの社会に根深い課題があるのだけれど、それが課題だと思うことから逃げずに向き合おうとする姿勢に共感を感じずにはいられませんでした。
マレーシアを訪れた際には、「ニューヨークの金融ウーマンを辞めて、マレーシアに戻ったのはなぜ?」そんな話もしました。
マレーシアのマイノリティであるインド系ファミリーに生まれた彼女は、子どもの頃、父親に連れられてインドに行ったのだそうです。その際の衝撃。自身のルーツを強烈に意識しつつ、祖国であるマレーシアに生きるマイノリティを思う気持ち。
Earth Heirの職人は、先住民族、障害者、難民など、多種多様です。
今は、CEOを退いて、若い世代に経営を任せているサシ。自分にできることは何か。常にその問いと向き合っているのだと思います。
こちらのプラスチックバッグの中袋は、マレーシアに暮らす難民女性がマレーシアンバティックを丁寧に縫製したもの。
サシの、あらゆるマイノリティへのまなざしを感じるてしごとです。
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