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実戦で活きる知識の習得方法、パイロットの私の場合。

先日、飛行機の免許の話をしました。

免許を取るにはテストに合格しなければなりません。しかし試験は関門の一つに過ぎないことも忘れてはいけません。試験に合格することは確かに大事ですが、パイロットが勉強をする目的は、もちろん、その知識を実際のフライトで「使う」ためです。

いっくら長い時間机にかじりついて勉強しても、時速数百キロでぶっ飛んでいるコクピットの中で、必要なときに必要な知識がぱっと出てこないのならば、それは勉強していないも同然なのです。だから、気を付けていないと勉強しているのに「知識が弱い」という悔しい烙印を押されることになりかねません。まじめな人ほど、この罠にはまります。

もちろん私もズブズブにハマりました。

例えば、エアラインの面接でも必ずと言っていいほど聞かれる、キャットスピードってのがあります。で、教科書にはこんな表になって出てきます。

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あーもー見るだけで嫌ですね。

Catとは、猫ではなく「カテゴリー」のこと。飛行機は、その性能によって飛ぶスピードがカテゴライズされていて、遅い飛行機をA、スピードが上がるにしたがってB、Cとカテゴリーが上がっていき、最後にはEになります。ちなみにHはヘリコプターです。

で、そのそれぞれのカテゴリーで、場面場面で飛ぶ最大・最小スピードが決まっているよ、というのがこの表の意味することころです。パイロットにとってはとても基本的な情報なのですが、無味乾燥な数字がマトリクスになっているので、非常に覚えづらい。

CAT Cのファイナルアプローチはマックス何ノット?CAT Bのミストアプローチは?と聞かれて、パッと出てこなければいけません。

私はこういうの苦手なので、色々と工夫をしています。大事なのは、この情報がなぜ必要で、いつ使うだろうか、と、その知識のアウトプットが必要になる場面から逆算して考えることです。

なぜ必要なのか

なぜ、を知るには、背景を掘り下げます。そもそもなぜこのようなスピードのカテゴライズがなされているのでしょうか。

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