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ボーッとしたくて②

2泊3日の旅の始まりは成田から。
いつも通り文庫本を一冊携え、出発を待つ。
機内でも本に熱中していたら、あっという間に到着だ。

仁川で待ってくれていた友人を見つける。
5年ぶりの再会は、お互い嬉しいのだけれど、久しぶり感を出さない自然さとあっさりした挨拶。
ちょっと気恥ずかしかったが、元気そうでよかった。

留学時代、勉強に行き詰まる私を時々連れ出しては一杯付き合ってくれたこの友人。
気を遣わずに無言でも気まずくならないと思っているのは、きっと私だけじゃない(はず)。

久しぶりのソウル、何だか感慨深い。
車内から大好きな漢江を眺めながら、今、自分がそこにいるのが信じられないような気持ちになる。
まるで初めて海外に来たような感覚…

光化門で少し散歩することに。
ここで初めて、韓国に来た実感がちょっとずつ湧いてきた。

見たいもの、食べたいものはない?
「スンデ」
間髪入れずに私はこう答えた。
あれこれ決めずに旅立ったけど…そう、美味しいスンデが食べたい!ずっと食べたかったのだ!
普段から、スンデ食べたいなーとふと思うことがあるのだけれど、なかなか自分好みのスンデに日本では出会えない。
スンデはやっぱり現地で食べるのが一番。
長い付き合いの友人も、私のこの答えは意外だっようだ。

そう、これが食べたかった!!!
お腹いっぱいにスンデを食べて、とても満たされた気持ちに。

食堂を出た頃にはすでに陽が落ち、車でソウル市内を巡る。
10年前、自分がここにいたなんて何だか嘘みたい…少し坂を上り、車窓からぼんやり夜景を眺めながら、そんなことを思っていた。

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