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Epiphone Casinoというギターと「嫌な大人」
小さいころから「大人」という存在が嫌いだった。
自分の立場や収入や肩書に胡坐をかいて、他人の意見を聞き入れず見下した態度をとる。
自分の間違いを決して認めず、むしろ適当な理由をつけてこちらに八つ当たりする。
子供たちが自分の思い通りにならない動きをしたら、感情を抑えずキレ散らかす。
不条理で、ずるくて、難しいことばかりならべて、核心に触れるのを避けようとする。
そんな「大人」が嫌いで仕方なかった。
もちろん、心優しい素敵な大人もたくさんいた。
だけど、親や先生といった大人たちが絶対的な存在だった子供時代には、そういう「嫌な大人」ばかりが目についてしまう。
そんな「嫌な大人」が抱えているものよりも、よほど自分や自分の友人たちが我慢しているものの方が多いように感じられた。
……と、色々書いてはいるが、ようは小中学校の先生に理不尽な怒られ方をしたり、犯罪をした人のニュースを見たりしたから、という単純な理由でこんな思いを抱くようになったのかもしれない。
ともかく、世間には「嫌な大人」がいて、最近では就職活動を通じて「嫌な大人」が醸成されていくのでは?というふうに感じている。
さて、話はすっぱり変わって、一昨年の秋に新しくギターを購入した話をします。
大学3年生になってジャズに興味が湧いてきたので、大学2年生の時に間に合わせで買ったアコースティックギターを売却して、ジャズ用のギターを迎え入れることにした。
もちろんネットでも買えるのだけど、今回は間に合わせではなく長く付き合い続ける予定の楽器だからな~。
実際の見た目や弾き心地に満足のいくものを購入したいな~、ということで、楽器の聖地である御茶の水まで足を運んだ。
狙うのは、こんな☟
![](https://assets.st-note.com/img/1704613310425-Ax4X8GdkyO.jpg?width=800)
バイオリンみたいな穴(Fホール・f字孔)が開いていて、温かみのある音が出せるギター(ボディの薄いのがセミアコ、厚いのがフルアコと呼ばれたりします)。
予算は、アコギを売った値段と合わせて5~7万円くらい。ギターを買うにしては低予算だが、(一泊二日の新幹線+宿プラン)×2の旅行ができてしまう料金でもある。学生にとってはかなりの出費。
そう思うと怖くなってくる。だけど、考えすぎても仕方ないし、そもそもこういうのは直感で選ぶタイプだ。
何店舗もある楽器店を巡り巡って、これは……!!と感じるモデルを探した。
そして、ある楽器店の半地下にある小さな一角で、Epiphone Casinoというモデルと出会った。
まず惹きつけられたのが、Casino(カジノ)という名前。
カジノといえば、未成年は入場できない、オトナな雰囲気の賭博場だ。ラスベガスとかマカオとかの豪華な賭博場をイメージする。
高校時代の弾き方からステップアップして、ジャズというステージに挑戦したい!という気持ちにも、子供から大人へと移りゆく自分自身のライフステージの変容にも、どちらにもCasinoという名前がぴったりだと感じた。
他にも、見た目の色合いや抱え心地、音や構造上の特徴など、どれも魅力的で、まるでわたしに発見されるのを待っていたかのようだった。
中古だけど相当に状態がよく、予算範囲内のお値段だったので購入。
納得のいくギターを手に入れることができた!御茶ノ水まで足を運んでよかった!これから練習頑張ろう!と思った帰り道。
あれ……Casinoを選んだ理由、めっちゃ大人への憧憬が含まれてるじゃん。
え、もしかして、潜在的にはあんな「大人」という存在にあこがれていたのか!?
まさか、あれほど忌避していた「嫌な大人」に自らがなりつつあるのか!?
そう気づいてしまうと、寒気がした。
彼(Casino)とわたしは、共に新しいステージに登れるのか?
それとも、彼はわたしを「嫌な大人」にしてしまうツールなのか?
Casinoを購入した後悔も、ジャズ方面を開拓する迷いも全くないが、背中の冷や汗がなぜか拭えない。
心優しい素敵な大人になれるよう、進むべき道を切り開きたいと思います。中二病みたいですね。
新たな気づきがあったら、この続きをまた書きます~。
ところで、Podcastもやっています。今回は丸の内のジャズクラブ『COTTON CLUB』での体験談!
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