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そらQラジオ【text】第9回(2020年1月30日):ローカルプロジェクトの人材戦略 その4

そらQラジオ【text】では、ラジオの内容を整理してお届けします。第9・10回は鹿児島県奄美大島で空き家を改修してチャレンジショップ兼コミュニティスペース「HUB a nice d!(ハブアナイスディ!)」を切り盛りする山本美帆さんにインタビュー。前半は山本さんがどうのように奄美に行き着き、事業を始めたのかを伺います。(山:山本さん 永:永山)

要点メモ
・バリバリの東京キャリアウーマンが転勤族の嫁として奄美大島へ
・転勤族でも子育て中でも、女性がスキルを活かせる場所を作ろう
・ママ達の活躍の場作りが、地域のニーズに応えて変化していった
HUB a nice d!(ハブアナイスディ!):飲食のチャレンジショップ(土曜限定カレー屋や週末居酒屋)と人が集まるコミュニティスペース。奄美のハブ、方言の「ディ!(○○しようよ)」、「have a nice day」をかけたネーミング。

バリバリキャリアウーマンから転勤族の嫁として島へ

山:鹿児島市出身で、大学卒業後、都会に憧れて上京しました。電機メーカーの経理のシステム開発などを5年間、めっちゃ楽しくてやりがいがあって、バリバリやってました。夫の転勤が奄美大島に決まり、やりかけのプロジェクトを断念して退職し、ついてきました。
永:奄美大島での暮らしはどうでしたか?
山: 瀬戸内町の阿木名(あぎな)という集落に住みました。自然豊かで食べ物も美味しい。でも、車がないと集落から出られないし、話す人がいない。昼間はワイドショーを見て1~2週間ぐらいは過ごせましたが飽きてしまって。人と繋がりたい欲が湧いてきて、東京から友達が遊びに来たとき、入った飲み屋にいたおじさん2人に話しかけて友達になりました。その2人が私たち世代の友人を紹介して、どんどん繋がっていきました。

転勤族でも子育て中でも、女性がスキルを活かせる場所を作ろう

永:少しずつ知り合いができてきたんですね。仕事はどうしましたか?
山:自分がやりたいことやスキルを試せる仕事はなく、カフェや事務のアルバイトをしましたが物足りなさを感じました。妊娠を機にそのアルバイトも辞めることになった時、「転勤族で子育て中だと社会と繋がるきっかけをちょいちょい絶たれるのか」と気づきました。これを打破するには、転勤族でも子育て中でも働ける働き方を持っておかないといけない、と思い、ベビーマッサージの資格を取って自宅で開業しました。いろんなママに出会い、自分が学んできたものを伝えて社会と繋がるきっかけになりました。
永:活動はそこでとどまらなかったんですね。
山:東京ではチームでプロジェクトを動かしていたので、「チームで何かやりたい」という欲が出てきました。赤ちゃんとお母さんと一緒に学校や高齢者施設などに行き、命の大切さや赤ちゃんの成長について伝える「赤ちゃん先生プロジェクト」に関わるようになり、一緒に活動していたママたちから「元々こんな仕事をしていた」「旦那の転勤についてきたけど本当はこういうことをしたい」という話を聞きました。何かをしたくても諦めなくてはならない状況のママがたくさんいる。女性がスキルを活かせないのはもったいない、活かせる場所が欲しいと思いました。ハブアナイスディのきっかけです。最初はママ達がマッサージ教室などを開ける場所にしようと思っていたけれど、「集落に飲食店がないから欲しい」とか「飲み屋が欲しい」という声、カフェを開きたいというママとの出会いなどがあり、形を変えていきました

夫が島外に転勤後も島に残ることを選んだ

山:ハブアナイスディのファンを増やしたかったので、地元の大工さんや設計士さん、地域の人に声を掛けて、DIYで、作る過程を楽しみながらやりました。
永:お金はどうしたの?
山:最初は自分で出したのですが、古民家を開けてみてびっくり。シロアリがひどくて、想定の何倍もお金がかかることがわかり、助成金などにアタックしました。
永:だんなさんは何と言っているんですか?
山:夫にはことあるごとに相談して承認を得てここまで来ています。が、今、夫がまた転勤になり、私と娘が島に残ってワンオペ単身赴任状態です。笑
永:だんなさんの転勤についていかないほどに、奄美を愛してしまったのですね。
山: それもありますが、女性が男性の人生レールに乗っからざるを得ない部分がまだまだある一方、働き方や暮らし方が変化してきている中で、女性もやりたいことができる生き方がもっとできたらいいのではと思い、もう少し島にいて追求したくなってきたかんじです。

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