そらQラジオ

そらQラジオ【text】第8回(2020年1月29日):ローカルプロジェクトの人材戦略③

そらQラジオ【text】では、ラジオの内容を整理してお届けします。第8回はヤマシタケンタさんの後半です。島の外の人に関わってもらう秘訣とは…?(ヤ:ヤマシタさん 永:永山)

要点メモ
・情報発信の精度と密度を上げることで、外部人材と共通言語でつながり、合流後がスムーズ
・スキルよりも、「誰と繋がっているかが重視される」地方
・「リトラボ」は島内外の人々がフラットにスキルや人脈を出し合い、未来へのプロジェクトを起こす取り組み

外部人材と共通言語でつながれるような情報発信が鍵

永:様々な事業に全国のいろんな人に関わってもらっていますよね。お金は払ってるの?
ヤ:基本的に払ってません。宿の宿泊費をいただかない代わりに、アイデアをいただくとか。そして、提案してもらったことは「実現する」ってことを圧倒的に大事にします。一回きりの出会いではなく、人と人として、ずっと付き合っていけるようにしたい
永:スキルや社会的な肩書きよりも、その人と一緒にできるかを大事にしているんですね。
ヤ:エントリーしてきた人を全員採用した時期もありました。定員1だったら、一番最初に応募してくれた人をとにかく採用しました。
永:今か今かと、ヤマシタさんの求人を待ってる人たちを採用していたということでしょうか。
ヤ:それはあるかも。応募はほぼ100% SNS、特にTwitter からです。僕がどんな発言してるかもずっと見られてるみたいで、「3年前からフォローしてました」とか言われます(笑)。共通言語で会話できるので、採用後がとてもスムーズです。
永:でも、仲間を集めることを目的に発信しているわけではありませんよね。
ヤ:発信するときに意識するのは、自分事を押し付けないこと。受け手にとって、価値のある発信ができているかを考えます。
永:そらQラジオの第1週に登場してくれた人々の話から、首都圏からの兼業副業に交通費助成をしても、適切なマッチングがないと機能しないと思ったんです。それに対して、助成を受けなくても、歯車をしっかり組み合わせてやってる人々は、情報発信の精度と密度を上げているってことなんですね。

「誰と繋がってその地域にいるのか」が大切

永:交通費補助の制度、ぶっちゃけどう思いましたか?
ヤ:どっちかというと、しょうもないなと。現場分かってない人が考えた感じ。お金もらえるから来る人は、もらえなくなったら来ないと思う。どんなスキルを持っているかは、地域ではあまり関係なくて、それより地元の人が「この人は大切な人」と思えるかが大事。僕が京都で働いていたときは、縁もゆかりもないから、”●●ができる、スキルがある” ヤマシタケンタってことが重宝された。でも、島では「●●建設の次男坊」「●●の跡取り」とかのほうが大事。 結局、「誰と繋がってその地域にいるのか」が重要視される。外から来て、何年経っても「あの人は東京から来た」って言われてしまう人たちは、地域で自分の顔になってくれる人と繋がれていないんじゃないか。うちの会社は半分はIターンだけど、何年も前からいるような感じで働いてる。「山下商店の●●」「コシキテラスの●●」など、「あの店をやってくれる人」と言ってもらえる、地域にとって必要な屋号が生きているのかな、と思います。

島内外の人がスキルや知見を出し合い、未来へのプロジェクトを起こす「リトラボ」

永:肩書きやスキルで地域は人を受け入れない。 「誰と繋がっている誰」というところから話が始まるのは。一人一人の信頼関係がベースにありますね。今、ヤマシタさんを中心にやっているリトラボ=鹿児島離島文化経済圏も、いろんな島々の知見やスキルをシェアするということをテーマとしながら、実は個人と個人を島をまたいで繋いでいくイメージなんでしょうか。
ヤ:そうですね。いろんな島を一緒に訪問するフィールドワークをしています。ホストには、「未来に向かってどんなチャレンジをしているのか」を地域全体を使ってプレゼンテーションしてもらっています。港で迎える所から送り出すところまで、どんな体験をするのか誰と会うのか、全てがプレゼン。
永:未来へのチャレンジをしようとしているその人が何者で、どんな人達とどんな信頼関係を作っているのか。すべてがつまびらかになる場ですね。
ヤ:未来に対しては誰も答えを持っていない。「こうしよう」という思いは伝えられても、本当にそうなるか分からない。島の人は島外から支援されるのではなく、外の人と同じ目線で、志を一つにして、それぞれが持つスキルやノウハウ、人脈を出し合い、未来のやりたいことを実現するためにプロジェクトを起こしていくのがリトラボです。
永: どっちが偉いとか、ノウハウを移転するって話ではなくて、お互いフラットに持ち寄ったり出し合ったりする関係なんですね。
ヤ:僕らは年度末にいなくならないんです。
永:それは大きい。政府の交通費補助は3年間という時限措置だけど、そういうこととは別のことが動いている。ゲームのルールが違うところでやり続けるってことですね。


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