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そらQラジオ【text】第2回(2020年1月21日):副業・兼業に関する交通費支援について その2

そらQラジオ【text】では、ラジオの内容を整理してお届けします。
第2回はフリーランス協会 代表理事 平田 麻莉さんにインタビュー。兼業副業のニーズ、首都圏企業の動向、地方企業に期待される変化など、幅広くお話しいただきました。そらいけ!九州!(平:平田さん 田:田鹿)

要点メモ 
・交通費支給は、兼業副業の人材活用をする地方企業向け。地方での兼業副業の関心が高まる中、地方企業が業務委託など人材活用にチャレンジするのを後押しし、受け皿を増やす起爆剤に
・兼業副業を解禁する首都圏企業にとっての懸念「本業への支障」は評価制度を整えて解決。解禁は社員の成長を促し、企業にもメリット
・兼業副業希望者と地方企業がつながれば、知見や人材が流動化してさまざまな人が各地で活躍。東京一極集中の是正や地方にイノベーションを起こす可能性あり

兼業副業の人材活用をする地方企業に交通費支給。受け皿増やす起爆剤に

田:今回のニュース、どういう第一印象を受けられましたか?

平:兼業副業をする方への交通費支援は、協会からも政府に対してこういうものがあったらいいなとお伝えしてきたものの一つです。SNSなどの反応を見ると、兼業副業をする個人に支給されるという誤解やばらまきになるのではという批判が散見されますが、実際これは兼業副業の人材を活用する企業に対して支給されるもの。一定の条件を満たした業務委託での人材活用に対する助成という形です。兼業副業を地方でしたい方がどんどん増えている中、その受け皿を増やす起爆剤として、この仕組みが有効に使われるといいと思います。

首都圏在住会社員の8割が兼業副業に興味

田:実際、「首都圏在住で兼業副業したい方」はどのくらいいるのでしょうか?
平:協会では、昨年、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部に協力し、戦略作成のための予備調査を実施しました。その結果、首都圏に住む会社員の8割が、地方での兼業副業に興味があると回答しました。ボランティアも含めて、既に兼業副業を経験したことがある人は20%でした。

「本業への支障」は評価制度で解決。兼業副業は社員の成長を促し、企業にもメリット

田:兼業副業希望者はかなりいるようですが、彼らが所属する首都圏の企業には、兼業副業をまだ解禁していないところも多いと思います。企業の反応はいかがでしょう?
平:調査によって幅がありますが、解禁してる企業は2割から5割ぐらいです。解禁していない企業の懸念点は大体3つあります。「本業への支障」「コンプライアンスや利益相反、情報漏洩など」「転職・人材流出のリスク」です。一方、協会が解禁している企業にヒアリングしたところ、「本業への支障」は評価制度をしっかり整えれば全く気にすることはないというのが統一した答えです。会社員として期毎の目標やKPI が決まっていれば、それが達成できたかどうかだけの話で、できなかったら本業に集中しましょう、とフィードバックできます。
田:兼業副業のメリットを感じて、積極的に解禁する企業もありますか?
平:一番は社員が自律して成長できること。会社の中だけの人間関係や役割だけでやっている人と、会社の外のいろいろな人と交流・他流試合をする人では、視野の広がり方や成長スピードが違います。業務委託の形では、営業や請求書の作成など、自分が経営者の視点を持つという点でも成長できます。(こうした、社員と外部との接触による)オープンイノベーションを期待して解禁している企業も多いです。

地方企業がプロフェッショナルの活用にチャレンジするきっかけに

田:逆に地方の受け入れ側の体制がちょっとまだ整ってないという声もあります。
平:地方の経営者の方々には、兼業副業のフリーランスと業務委託で契約するという発想がそもそもなく、方法も分からないという方がほとんどだと思います。ただ、「雇用」にこだわっていては絶対に巡り会えないような方が自社のチームの一員として活躍してくれるというのは、非常に有意義だと思います。費用的にも、ビギナーの方を年収200万円で雇うよりも、プロフェッショナル人材を週1日だけでも年間200万円で業務委託するほうがコスパがいいという話もあります。交通費助成を後押しに、地方の先進的な経営者がそうしたチャレンジをすると、きっと効果を感じられて口コミでどんどん広がるのではと思っています。

知見や人材を流動化。さまざまな人が地方で活躍し、イノベーションを

田:個人のキャリア、企業の雇用の仕方などに新しい可能性が広がっていくことには僕も期待しています。最後に平田さんからメッセージをお願いします。
平:首都圏に住んでいると、自分の地元や縁のある地域の役に立ちたいと思っている人は本当にたくさんいますが、関係の作り方がわからなかったり、きっかけがなかったりという状況だと思います。一方で地方は専門知識を持った人が足りないためにイノベーションがなかなか起きにくい状況です。両者がうまくつながることで、いろんな人の知見や人材が流動化していき、日本の中でいろんな方が活躍できるようになっていくといいですね。兼業副業やフリーランスが、東京一極集中を回避する切り札になれるんじゃないかなと思っています。
田:平田さん、ありがとうございました!!!

※平田さんの見解は、こちらでもご確認いただけます!
https://blog.freelance-jp.org/20200110-6735/

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