見出し画像

死にたい自分を肯定する物語

NHKの特集ドラマ「ももさんと7人のパパゲーノ」というドラマを見た。

息子が録画していたドラマだ。

今人気の女優さんが出ているので、単純に面白そうと思ったのかと思っていたら、ドラマの内容にも興味があったらしい。

主人公のももさん役には、伊藤沙莉さん。

「死にたい」気持ちを抱えて悩んでいる人へ、そんな気持ちをもっていても大丈夫だよ。死にたいって言ったっていいんだよ。と、そっと寄り添ってくれるお守りのようなドラマだ。

「パパゲーノ」という言葉はこのドラマではじめて知った。

死にたい気持ちを抱えながら、その人なりの理由や考え方で“死ぬ以外”の選択をしている人のこと。
nhk.jp

パパゲーノは、モーツァルトのオペラ「魔笛」に登場するキャラクター。
自ら命を絶とうとする人の抑止力になることを、パパゲーノ効果と呼び、研究も進められているそうだ。

番組タイトルの「もも」という名前は、NHKが運営するサイト「自殺と向き合う」に日々寄せられる投稿のなかで、最も多く使われるているニックネームです。
※nhk.jpより引用


あらすじ

ももには友達もいるし、両親と仲が悪い訳でもなく、彼氏だっていた。
見た目は一般的な女性で、仕事も恋愛も、無難にこなしている(ように見せている)。
そんな日々の中で、ももは自分が「死にたい」気持ちを抱えていることに、気付いていなかった。

ももにとって「死にたい」は、自分なんかが言ってはいけない、もっと辛い人がいう重い言葉だった。

ももは月曜日の朝を迎えるのが耐えられなくて、オーバードーズで入院した。そしてはじめて自分が死にたいと思っている事に気がついた。

冗談でも死にたいと言えなかったももは、尚更人に言えない死にたい気持ちを抱え込んでしまう。

死にたい気持ちに襲われた時には、死なない為に、自分の足の甲を傷つける事で、気持ちを落ち着けた。

ももの彼氏は良い人だけど、ももの真剣な悩みを軽く見て、自傷行為をファッションだと決めつけて、上から諭してくるようなウザイ奴だった。
友人に相談しても「死にたい奴は焼肉は食わないよ」なんて言う鈍感なタイプで、ももの気持ちを理解してはくれなかった。

月曜日、電車に乗りたくても、ベンチから立ち上がる事が出来ない。

その日会社を休んだももは、コンビニで自転車をなぎ倒してしまう。そこに居合わせて助けてくれた、生きるのが上手な女性と、競輪レースを見てワクワクした。
ももは、何か楽しいことや、ワクワクする時間を作ったりすることが上手くなれば、生きるのが辛くなくなるのではないか、と思った。

ももはSNSで、辛いときに楽しいことを見つけている人、辛さと付き合いながらも上手く生きている人と連絡を取ってみようと考えた。
そして楽しい事を教えてもらったり、知らないワクワクを教えてもらおうと、その"パパゲーノ"らしき人々を訪ねて旅に出る。


「死にたい」と口には出さずとも、しんどいなぁ、もう消えてしまいたいよ…と思うような経験は、誰にでも一度くらいはあるもの。

でも今の社会では「死にたい」と口にした瞬間に否定されたり、みんなそうだよとたしなめられたりして、なかなか受けとめては貰えないものだ。

良い事と悪い事のバランスが取れないのが、世界なのだ。

死にたいと思うこと自体を否定せず、そんな気持ちに寄り添ってくれる人がいたらどうだろう。
そうだよねー、わかるよーと、言ってくれる人がいるだけで見える世界も変わってくるように思う。

仕事を辞め、旅に出たももは、最初に出会った雄太(染谷将太)とふたりで、パパゲーノ達に会って話を聞く旅をすることになった。

話を聞いたり、自分のことを話したりする中で、それぞれからなにかしらを、少しづつ受け取っていくふたり。もちろん、いい事ばかりではない。

働く事や、社会の一員になる事は当たり前のことだ。辛い事を乗り越えてこそ、楽しい事にたどり着けるんだ、という人もいる。

心のダメージと引き換えに人は成長するのかもしれない。

ごもっともだけど、ちっとも優しくなくて、心が苦しくなった。

長い人生、一度や二度つまづいたって、逃げたって、休んだっていいじゃない。ちょっと休んで、もっと自分や他人に優しくなろう。
言いたい事を言って、やりたい事をやろう。
そしてそれを肯定して欲しい。

人の話を聞いたり、悩みを話したりすることで、人は救われる。

しんどいとき、自分と同じように眠れない人がいて、今一緒に夜更かししてると思ったら、なんか落ち着く…というももの言葉に、うんうんと頷きながら、ほっとしている自分がいた。


ももが、「あー、死にてー」というと
雄太が「わかるー」と言う。

「でもその前にトイレ行きてー」
「わかるー」
と笑って、ふたりはトイレを探しに歩き出す。

わかってくれる人がいる。繋がっていると思うだけで、今はまだ死ななくてもいいかな?って前向きになれたらいいよね。
そんな優しい世の中がいいな〜と思えるドラマだ。
私は2回も見てしまった。心病んでるのかな?


死をテーマにしたドラマだけど、何故だか優しい気持ちになれるこのドラマは、我が家では永久保存版になった。

この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

眠れない夜に

私の拙いnoteに、サポートいただけたらとってもとっても嬉しいです✨いただいたサポートは、幸せのバトンに使わせていただきます♡