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掌編、短編小説広場

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此処に集いし「物語」はジャンルの無い「掌編小説」と「短編小説」。広場の主は「いち」時々「黄色いくまと白いくま」。チケットは不要。全席自由席です。あなたに寄り添う物語をお届けしたい…
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2022年4月の記事一覧

掌編「五月五日の擦り傷に誓う」

 君が初めて笑った日の事を、僕は一生忘れないよ。 「パパの馬鹿ぁー」 「ごめんって」 「あっち行けー」 「だからごめんって、今度は放さないから」 「嫌だぁもう帰るー」 「今来たばかりだよ」 「嫌だぁー、ママー」  敷物の上で赤ん坊を抱いてこちらを見守るママに手を伸ばす君を見て、僕はすっかり弱り切ってしまった。  僕ら夫婦に初めての子どもが誕生したのは四年前だった。産まれたての小さな男の子は、噂に聞くよりも真っ赤だった。そして噂に聞くよりも何億倍も可愛かった。目を閉じたまま