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箸休め

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連載小説の息抜きに、気ままに文を書き下ろしています。文体もテーマも自由な随筆、エッセイの集まりです。あなた好みが見つかれば嬉しく思います。
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#人生

「やさしさの欠片と師走の晴天」

      年の終わり、大掃除を大方終えて、文箱を少し検めていたら、去年の誕生日に貰ったメッセージ絵本が出て来た。 「これからも大きな優しさで輝き続けて」と、そう書いてあった。  文字が目に飛び込んで来た瞬間、この一年の自分が鏡の様に目の前へ広げられた気がした。今年の私は、自分の生き方を模索するあまり、人生迷子みたいな日々を暮らしたような気がしている。人にやさしくありたいとも思うのに、自分の人生というものを考えたくて、どうバランスを取ればいいのか、何をすることが周囲にとっ

「暮らしと喜び」

 昨年後半、小さな綻びから傷が広がるように、上を向いても上を向いてもどん底に突き落とされる思いがして、挙句自分のミスも重なり出費は嵩むしで、一体何の試練がやって来たのかと思っていた。これはよっぽど大きな、例えば宝くじの一等に当選するような、どかんと大きな幸福でもやってくるんだなとか、そうでもなければ割に合わないものなと鬱屈した精神で考えていた。私に宝くじを買う習慣はない。  だが年の終わりに待ち設けた食事会があって、私は随分はしゃいでいたのだけど、そこで仕事関連の話をし

「日本の物作りの美しさよ 使って心地好さを実感する風呂敷」

これ、何だかわかりますか?ヒントはマウス。そうです、自分の大事な相棒、ノートパソコンなんです。 ずっと、購入した時にパソコンが入っていた袋状の不織布のまま、リュックに入れて持ち運んでいたのですが、表面が縒れてどんどん悲惨な状態になってきまして。これは野暮だと自分に駄目出ししました。 それで不図、市場にはノートパソコンやタブレット端末を鞄に入れて持ち運ぶ為の、内袋みたいなものを売っているのではないかしらと、漸く思い付いたのです。 自分が欲しいのは、日本製の商品でした。丁寧

「子育て中のあなたを全力応援」

 今晩は。今宵も荘厳な夕闇が広がっています。月は見えるかな。  突然ですが私は子育て中の全てのお父さんお母さんを全力で応援しています。手が届けられるわけではありませんが、それはもう全力で支えて参りたい所存です。  私は小学二年生の頃から子守りをしてきました。当時両親が共働きでしたので、小学生と保育園児の兄姉が寄って集って生まれたばかりの弟のお世話を仰せつかっていたのです。  当時わが家は布おむつでした。畳み方、替え方、全て母に教わって誰でも出来るようになりました。母が居