「あらまほしきことなり」
誕生月は長編執筆で自分を追い込みながら始まった。十月末に一旦書き上げる予定であったものがずれ込んで、然し山形までに一度書き上げねば呑気に旅なぞ行かせんぞと脅されるものだから、誰にって、自分にだけど、そう云う訳だから必死で書き上げた。だから旅前の一週間くらいは非常に浮かれ気分で暮らした。今がチャンスと短編や掌編を書いて楽しく暮らした。荷造りで浮かれ、切符で浮かれ、想像巡らしては浮足立って暮らした。過日お話した通り晩秋の山寺を堪能して、他にも語り切れていない山形を存分に吸い込ん