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箸休め

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連載小説の息抜きに、気ままに文を書き下ろしています。文体もテーマも自由な随筆、エッセイの集まりです。あなた好みが見つかれば嬉しく思います。
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2022年2月の記事一覧

「器と出会うなら晴れの日と決まっている」

単刀直入に云おう。今年に入ってからの良き出会いをお披露目する。長編小説執筆の箸休めである。 お付き合い頂けますか? それではどうぞこちらへ。 一月某日、買い物へ出掛けてこぎん刺しの箸袋と鉢合わせ。迷った挙句藍色にしたら、青森で買ったティッシュケースとほぼ同じ藍で吃驚した。の図。 ある御方よりおたま置きを頂戴した。陶器である。有田焼である。 味見皿にもなる。すっかり愛用している。何とも可愛いらしいのである。 二月某日、晴れ。骨董市をやっていると云うから見に行って来た。

「正方形の織り成す和菓子模様から国境を越える」

ビニールの包装を外した途端に木の香しさが鼻腔にすうと広がって、途端に林の中へ立たされていた。気分が大変に良い。逸る気持ちを抑えながら、手元の木箱の蓋へ手を掛けた― ああ、何と云う愛らしさか。これは、和菓子屋さんでとんと巡り合った節分の和菓子の升箱である。この正方形の慎ましい箱の中へ紡がれた和菓子の美しさに暫し見惚れる。形、並び、配色。背景を思い浮かべない訳にいかないではないか。凝と眺める内、心模様は水流のように滑らかに運ばれて、そしていつしか、国境を越えていた。 日頃、自

「心の声が漏れる」

カメラが壊れました。節分の今日突然起動しなくなりました。取り敢えず無言でバームロール食べてます。外は晴れていますが雨が降っています。今朝はポケットへティッシュを入れたまま洗濯をしてしまいました。誰の所為かと見れば自分のパーカーでした。夕べは仕事を終えてとある傷心を癒すと云うより乗り越えようと思って敢えてコーヒーを飲み、朝方四時まで書いていました。目覚ましは七時でした。 とある傷心はもういいです。それより何の前触れでしょうか。カメラが致命傷です。今夜のいわしの写真をどうやって

「踊るラフランスと身と心」

果物を食べている。 今朝も季節の果物を食べている。 人へ御歳暮で送ったのと同じ果物を食べてみる。 寒さで足踏みしたけれど無事追熟できた果物を食べている。 この季節だからみかんとりんご、そうしてラフランスを食べている。 サンふじとの触れ込みであったけれど届いたのはふじだったから一層喜んで食べている。 美味しい。季節の果物ってどうしてこんなに美味しいのだろう。 朝だけじゃなくて昼も、夜までついつい食べていたら、御歳暮に果物が届けられた。 そうして別の方面からも、みかんが職場とわ