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長編小説「KIGEN」

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「AI×隕石×大相撲」 三つの歯車が噛み合ったとき、世界に新しい風が吹きました。 それは一つの命だったのか。それとももっと他に、相応しいものが、言葉が、あるのだろうか― 小学校5…
ようこそいち書房へ。長編小説はお手元へとって御自分のペースでお読み頂きたく思います。
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2023年11月の記事一覧

「KIGEN」第七十九回

 関脇が定着した基源は、毎場所十番勝つのは当たり前になった。直近三場所で三十三勝する事が…

いち
7か月前
46

「KIGEN」第八十回

 だが天秀峰も大人しくしているわけがない。ケガの状態が取り沙汰されたものの、ひと場所の休…

いち
7か月前
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「KIGEN」第八十一回

 翌十三日目、基源はベテラン大関と当たって勝った。天秀峰は関脇と当たり、昨日の失態をかき…

いち
7か月前
48

「KIGEN」第八十二回

 長い相撲になった。組み合って尚容易に投げられない。お互いに巻き返しを警戒している。だが…

いち
7か月前
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「KIGEN」第八十三回

   十一章 「両国は風のかなたに」  理事長の諮問によって横綱審議委員会の定例会で、基…

いち
7か月前
49

「KIGEN」第八十四回

   横綱昇進が決定して以来、諸々の手続きやら挨拶などと、土俵の外で多忙な日々を暮らす基…

いち
7か月前
45

「KIGEN」第八十五回

―垣内親方へ引退を申し出る数時間前、基源は奏と会っていた。奏に真っ先に告げると初めから決めていたのだ。 「私は人工知能を持っています。自分の心と器のことも計算できます。誰よりも詳細にデータが取れます。無論あなたも知っているでしょうが。  奏、私の期限が近い。あちこち痛い。苦しい。老化が進みはじめている。白髪も混じるんだよ。私はどうも、人類とは成長速度が違うようです。私の持つ全ての知識とかけがえのない経験は総てデータ化して奏の元へ送ります。約束だからね。生み出してくれてありが

「KIGEN」第八十六回

 本来ならば隕石がAIに察知された時点で、不純物として丸ごと体外へ放出されようと働きかけ…

いち
7か月前
46

「KIGEN」第八十七回

      終章「若い瞳」  色鮮やかな新緑が薫風に葉をそよがせている。モンキチョウが盛…

いち
6か月前
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「KIGEN」第八十八回(終)

 とある幼稚園の遊戯室。講演前に、エプロン姿の先生が園児を前にお話を始める。 「今日のお…

いち
6か月前
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