Planet Labsを徹底解剖! 事業概要、ビジネスモデル、歴史、組織、今後の展望まとめ
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Planet Labsを徹底解剖! 事業概要、ビジネスモデル、歴史、組織、今後の展望まとめ

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本記事は様々な宇宙ビジネス企業を徹底解剖する連載『宇宙ビジネスモデル図鑑』の第2弾。第1回のSpaceXに続いて今回徹底解剖する企業は、すでに2020年7月時点で約150機もの小型衛星を打ち上げ、毎日地球を観測する衛星群を構築した衛星データビジネスの代表企業Planet Labs(プラネット・ラボ)です。

※宇宙ビジネスモデル図鑑では、『ビジネスモデル2.0図鑑』の「ビジネスモデル図解ツールキット」を活用させていただいております。

sorano meでは、noteを最後まで読んでいただいた皆様から、質問を募集しています。いただいた質問は、後日Youtubeで公開する動画コンテンツにて回答させていただきますので、お楽しみに!

sorano meとは?どんなことをやっているの?という方はこちらをご覧ください。

(1)衛星データビジネスの市場規模

2040年代に国際市場規模が100兆円を超えると言われている宇宙産業。その動向を読み解く鍵となるのは、輸送サービスや衛星の製造開発、地上設備の需要を左右する衛星データの利活用です。Bryce Space and Technologyの「2019 State of the Satellite Industry Report」によると、2019年の市場規模は約38兆円で、そのうち衛星サービスが占めるのは35%にあたる13.4兆円。さらに、Morgan Stanleyのレポートによれば、地球観測分野の現在の市場規模は2800億円から、およそ10倍の2.7兆円になると予測されています。

衛星画像を使用して経済活動を分析するOrbital Insight(オービタル・インサイト)や、穀物の収穫予測や鉱業資源探査向けのサービスなどを提供するDescartes Labs(デカルト・ラボ)をはじめとする民間企業が衛星データを活用したビジネスを展開しており、さまざまな分野に浸透していくことで、その裾野は広がっていくと考えられます。

中でも、地球観測業界をリードしているのが今回紹介する米国のベンチャー企業、Planet Labsです。軌道上に約150機の衛星を所持し、1日に1回以上特定の場所の撮影が可能。その頻度の高さにも注目が集まっています。

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ウクライナ・チェルノブイリで発生した山火事の様子 ©️Planet Labs

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米国オクラホマ州にある石油貯蔵タンク ©️Planet Labs

同社は2010年の創業以来、衛星ベンチャーの買収や各国のサービスプロバイダーとの協業を重ね、戦略的に事業を拡大しているように見受けられます。そんなPlanet Labsは今後どのような進化を遂げるのか、本記事ではビジネスモデルを徹底解剖して探ります!

(2)Planet Labsの売上は200億円を超えている?

まずはPlanet Labsの売上がどれほどあるのかについて考えてみます。推測するにあたって参考になりそうな資料として、今回は2つの資料を用いて考えてみます。

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©PwC

まず、PwCコンサルティングのデータを参考にした衛星データビジネス市場におけるPlanets Labsのマーケットシェアは2017年時に7%、2022年には12%になると予測されています。

次に、衛星データ市場の市場規模についてみると同じPwCのレポートの以下の図が参考になります。

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©PwC

上記資料を見る限り、2017年時には約29億ユーロ、2022年には約40億ユーロになると予測があります。

つまり、1枚目の資料と合わせると、Planet Labsの売上は2017年に年間約2億ユーロ、2022年には年間約4.8億ユーロになる予測がされているということになります。

現在ユーロ/円為替相場は122円であるため、年間約250億円の売上があるのではないかと推測されます。

(3)Planet Labsの衛星データサービス

では、Planet Labsはどのようなサービスを現在展開しているのでしょうか。公式サイトを見ると、サービスを8つに分けて展開しています。本章ではそれぞれのサービスについて、紹介します。

Planet Monitoring

Planet Labsの強みは2020年7月現在、約150機の衛星コンステレーション(複数の衛星からなるシステム。衛星群。)によって実現される観測頻度です。Planet Monitoringでは、1日に1回以上の頻度で特定の場所を監視することができます。

たとえば、災害からの復興状況や遠隔地域の経済活動の把握などに活用できます。

Planet Basemaps

Planet Basemapsは、最新の地理情報をクライアントのアプリに統合できるプロダクトです。指定する範囲で自社のサービスの地理空間情報をPlanet Labsの衛星データをもとにアップデートできます。

衛星画像を基にした、定期的に更新される地図のようなイメージです。

Planet Tasking

Planet Taskingは、Planet Labsの持つ18機(2020年7月20日現在)の高解像度衛星SkySatに好きな場所、好きな日付の衛星データ撮影を依頼できるプロダクトです。

撮影したデータは3時間以内に要求者の手元に届きます。

Planet Explorer

Planet Explorerは、ブラウザ上でPlanet Labsの衛星が過去に撮影した画像を、豊富な検索条件機能を用いて、自由に閲覧できるプロダクトです。

14日間の無料トライアルもありますので、Planet Labsの衛星データが気になる方はまずこちらのサービスから申し込んで衛星画像を見てみてください。

Planet Analytic Feeds

Planet Analytic Feedsは、Planet Labsが提供するツールを用いて衛星データを解析することで、深い洞察(インサイト)が得られるようになるプロダクトです。本プロダクトはPlanet MonitoringとPlanet Basemapとも連携しています。

具体的には、建物や道路の検出、時系列での差分抽出などが可能です。

Platform

PlatformはPlanet Labsの衛星データのAPIを利用し、衛星データの画像、また画像から得られる情報を自社のツールやアプリに自由に組み込めるプロダクトです。

Imagery & Archive

Planet Labsがこれまで撮影したデータを利用できるプロダクトです。過去にPlanet Labsが撮影してきた地球の姿で〇〇を見たいというニーズに対して、合致したものがあればその画像を確認・購入することができます。

(4)Planet Labsの創業の経緯と事業成長の歩み

では、民間企業の衛星開発・衛星データサービスの提供をするリードランナーとして走り続けるPlanet Labsはいつ、どのように創業し、どのように事業拡大を進めているのでしょうか。本章ではPlanet Labsの歴史を紹介します。

【創業初期】

Planet Labsは、2010年12月29日にNASAの科学者だったWill Marshall・Robbie Schingler・Chris Boshuizenの3名によりサンフランシスコで創業した宇宙ベンチャーです。創業初期の社名は、Cosmogia Inc.。彼らが創業当初に掲げたミッションは、「衛星データへのアクセス民主化」というもの。

創業メンバーの3人はNASAでの開発経験を活かし、カリフォルニア州クパチーノのガレージで人工衛星を作ることから始めました。シリコンバレーのITベンチャーではありふれた、小さなガレージから企業が始まるスタイルは、当時の宇宙産業では斬新なものでした。また、創業メンバーがNASAエイムズ宇宙センターで開発に従事していたPhoneSatの経験が、アジャイル型の衛星開発に繋がりました。

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Dove-2が静岡を2013年5月1日に撮影したサンプル画像 ©Planet Labs

まず、2013年4月19日にSoyuz-2-1AでDove-2を打ち上げ、初めての衛星の軌道投入に成功します。上記画像は同社のFirst Lightのうちの1枚です。

2013年6月26日には、Flock-1と名づけられた、3~5mの解像度の画像を取得する28機のキューブサットによる小型衛星コンステレーションを同年12月に立ち上げる計画を明らかにします。Flock-1の高度は400kmで軌道傾斜角52度。Planet Labsは小型衛星画像の利用例として、森林破壊の観測・監視を考えていたようです。

また、当時のPlanet Labsには33人のフルタイム従業員が在籍し、NASA、SpaceX、Space Systems/Loral、Google、Facebookなどで働いていたエンジニアを人材として獲得していました。

【コンステレーション構築期】

2014年1月9日に、Flock-1の衛星群がOrbital Sciences CorporationのCygnus補給船で、ISSまで運搬され、同年2月28日には、全てのFlock-1のISS放出が完了します。

順調にコンステレーション網の整備を進めるPlanet Labsでしたが、2014年後半は頭を抱える出来事が続きます。

それは3回目のコンステレーション打ち上げのときでした。28機の小型衛星から構成されるFlock-1bは2014年7月14日にCygnus補給船でISSまで運搬されますが、ISSからの衛星放出機構に問題が発生し、10機のみしか予定時期に軌道投入が出来なかったのです。その後12機は遅れて軌道投入されますが、残り6機は最後まで軌道投入が叶わず、Cygnus補給船と一緒に大気圏で燃え尽きる結果となります。

その後、26機の小型衛星から構成されるFlock-1dは再度Cygnus補給船に搭載されますが、今度はOrbital Sciences CorporationのAntaresロケットが打ち上げに失敗し、Cygnus補給船ごと喪失します。

当時、Planet Labsの競合であったSkybox ImagingがGoogleに買収されたのも2014年のことでした。

しかしながら、様々なトラブルや市場の変化にさらされながらも、2015年に入り小型衛星の打ち上げも精力的に継続し、2015年6月の時点で、軌道投入に成功したPlanet Labsの衛星総数は75機にのぼっていました。(40機はトラブルで喪失。)

【第1次事業拡大期】

ここまでご覧いただきありがとうございます。ここからは有料パートになりまして、Planet Labsがどのように事業を拡大・成長してきたのか。また、既存の衛星画像販売ビジネスと何が違うのかと今後の展望について紹介しています。

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