燃え尽きた思い出話
唐突に思い出話ですが、東京の厨房にいた時だ。
先輩と二人で残業して作業してたら、普段かなりこわくて無愛想だったソムリエのおっさん(その人も残業)が何も言わずにグラス一杯の白ワインを持ってきて、先輩と私にくれた。
「飲め…」と言って去っていきました。
えっ
ドキッ(←ときめく音)
そうギャップ萌えである。
人生でも指折りの美味しさだったという。
退職する時もまず私が失踪→謝罪の順番だったんだけど、笑って迎え入れてくれたシェフは、やっぱりスパークリングワインを一杯をはなむけに差し出してくれたのであった。
正直その時は生きた心地がしなかったので、ワインは美味しかったけど一刻も早く消えたかった!
ただ一杯のワインが非常に大きな意味を持った出来事だったと思う。
ある日の夜、夜の仕込みをしていたら私は廃油が入った一斗缶をなんとひっくり返してしまい、床にダバー!と廃油が広がる!
それを見た普段こわい先輩!
しかし先輩は私に掃除の手順の指示を出し、一緒にブラシで床を掃除してくれた。
先輩は気にすんなという。
でもだめだ。
今日のミスはまずい!
深夜のコンビニに駆け込んだ私はそこにあった一番高級そうなパスタソースを3個ほど買って、翌日の朝に先輩に「昨日はすんませんでしたあ!」と差し出してみる。
貧乏人にできるのはこれくらいだ!
先輩は「いらんいらんいらん!お前が食え!」と言い、普通につっかえされました。
はい。
数日後に先輩は「お前あのパスタソースちゃんと食ったか」と聞いてくるのであった。
まあ時間が経ったからな…明るい思い出しか思い出せなくなってますが…楽しいこともあったなと今は思う。
新刊もよろしくよろしくよろしく〜🍾
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