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戸外音楽の記 ルリタテハ

 夕方になって公園に来た。芝生広場というか、芝のほかにシロツメクサやアメリカスズメノヒエやオオバコなどの草が茂る広場の端のベンチに掛けて、ゆっくりとオカリナを吹き始める。
 ひとフレーズ吹いて手を休めていると、何か広場に飛んできた。黒っぽい虫。素早く草地の上を飛んで回る。少し見ていると、この公園のタイル舗装の場所でよく見る、ルリタテハ(蝶)だとわかった。
 どこにもとまらず大きく飛び回って、だんだん近づいてきたかと思ったら、私の半袖シャツの袖にとまった。あららと思って、ちょっと写真に撮りたくなりスマートフォンをそっと構えようとしたら、さっと飛んでいった。しばらくしてまた来た。同じように袖にとまった。また写真を撮ろうとして、また飛んでいった。
 そのあと仲間なのかライバルなのか、ほかのルリタテハが広場にやってきた。そちらとつるむのか争うのかが忙しくなったようで、ルリタテハはこちらまで来なくなった。やがてみな、どこかへ去っていった。
 
 足元に、トキワハゼの小さな花。そろそろ日が暮れる。広場は人もいなくなった。


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