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◉【おもてなしに学ぶ】(茶道家メモVol.11 足るを知る)#43

「知足のものは貧しといえども富めり、不知足のものは富めりといえども貧し」という禅の格言を謎解き風に図案化したものがあります。

「貧しい」とは何も持ってない人ではなく、多くを持ちながら、まだまだ欲しい、と満足できない人のことです。

度が過ぎると我利我利亡者になります。足るを知り強欲にならないことが大切だと教えてくれます。

この謎解きは、京都市に龍安寺(りゅうあんじ)というお寺に行けばわかります。

枯山水庭園が名高く、白砂の庭に15個の石が配置されていて七五三の庭と呼ばれたりします。

「七五三の庭」とは、東から5、2、3、2、3の5群で構成されている石組を、5と2で七石、3と2で五石、そして3で三石と、七・五・三の3群とも見ることを、古来からの奇数の陽数として、「おめでたい数」をとったものであるそうです。

この石庭は、どの位置から眺めても必ずどこかの1つの石が見えないように配置されていて、訪れた人を魅了する場所でもあります。

龍安寺にある「知足の蹲踞(つくばい)」は茶室に入る前に手や口を清めるための手水鉢です。これは茶室「蔵六庵(ぞろくあん)」の露地にあり、水戸藩主徳川光圀の寄進によるものと伝えられています。

円柱形の蹲踞の中心には水を溜める四角い穴があります。

その穴の四方を「五」「隹」「矢」「疋」という漢字が囲んでいるのですが、パッと見ただけでは何を意味するか分かりません。

ところが、中心の四角い穴を「四角形」としてではなく「口」という字として捉えると・・・吾唯足知」(ワレタダタルコトヲシル)となります。

欲望を無限にふくらましてはならない。これで充分、有難うと言える心のゆとりと感謝の心を持つことが寛容だと教えているのでしょうか。

「吾唯知足」は、釈尊が説かれた教えです。

「足ることを知る人は心は穏やかであり、足ることを知らない人は心はいつも乱れている」と言われます。

心の平安を求めるのであれば、「吾唯知足」を是非理解して心の習慣になれば幸いです。

問題や悩みの根本は「欲」です。誰もが欲のない人はいませんが、自分の器に合った欲で満足できるか、それには先ず、自分をよく見つめることだと教えてくれます。

お茶の世界観を紐解く茶道には自らを整えることにとどまることなく、同じ空間に同じ時を過ごす相手に対する配慮や相手に喜んでもらえるよう、茶人にとっても相手にとっても、一期一会の人格形成の旅路にある人間関係学だと思います。

おもてなしは心身ともに幸せになる為の人間関係学だと感じています。

あなたはどんなおもてなしをしていますか。

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