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星に帰った少女

星に帰った少女

末吉暁子 1977
マミ子は母親との二人暮らし。幼い頃に離婚した父親の記憶はないが、ママとの暮らしに不満はなかった。十二歳の誕生日にママがくれたプレゼントは、なぜか色褪せたママのお古のコート。
ある日、塾に行く途中でコートに入っていたバスの回数券を間違えて使ってしまったマミ子は、見える筈のない富士山が大きくそびえる街に降り立ってしまう。そこでマミ子か杏子と名乗る、自分と同じように複雑な家庭の事情を抱えた少女と出会う。一度は無事にもとの世界に戻るが、ママの再婚話に戸惑うマミ子は再び古い回数券を使って杏子に会いに行く。
杏子もまたマミ子を待っていた。二人は杏子を捨てて出て行った母親を捜しに出掛けるが、この街が戦後間もない静岡だと知り・・・・。そして杏子こそ、他ならぬマミ子のママの少女時代の姿なのだと気付く。マミ子は、ママもまた家族との関係に悩み、傷付きながら生きてきた事を知る。
もとの世界に戻り、マミ子は再婚することを含めて母親の生き方を受け入れていく。そんなマミ子にママが見せてくれた古い日記には、マミ子こそが「星に帰ってしまった少女」として記されていたのだった。

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