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バンビ

「バンビ」
ザルテン 1923

子鹿のバンビは目に入る何もかもが不思議で、母親に質問ばかりしている。そんなある日、母親と逸れ迷子になったバンビの前に大きな雄鹿が現れ「おまえはひとりではいられないのか」と戒め静かに立ち去る。
森の動物達がもっとも恐れているのが人間である。いつもと違って猟師達は集団で狩にやってきた。火と火薬の匂いにパニックを起こして飛び出した動物達が次々に倒されていく。バンビは、「もし自分が倒れても構うな」という母親の声に従い、ひたすら走って逃げた。バンビはその日以来、母親に会うことはなかった。次の年、バンビに角が生えた。その翌年には、角も身体も立派に成長した。幼馴染みのファリーネに恋をしたバンビは、他の雄鹿達を打ち負かして、ファリーネと愛し合うようになる。
そんな平和な日々は、続かない。・・・森に平和が訪れることはない。
バンビが人間に撃たれた。大きな雄鹿が助けに現れる・・・。

「バンビ」は出版された当時は子供向けとしては想定されていませんでした。バンビが知恵を究めようと仲間を切り捨てる姿勢は深く非情であり、戦争を思い起こさせる人間による狩のシーンは無差別であるが故に恐ろしい。
「バンビ」では動物達は擬人化ではなく、動物の生態と視点に基づいて描かれています。厳。しく恐ろしい環境の中をどうやって生き抜くか。この問いは人間社会にも当て嵌まります。これらの状況が切実に描かれているところが、大人にも子供にも読まれている要因であり、作品の魅力となっています。

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