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居酒屋兆治

居酒屋兆治
山口瞳 1979

東京郊外の小さな町にある「居酒屋兆治」。店主の本名は藤野伝吉だが、客は皆彼を兆治と呼ぶ。彼は若い頃はプロの野球選手になることを期待される程の腕を持っていた。しかし、倒我によりその夢を諦め、サラリーマンとして生きてきた。上司とのトラブルに悩んだ彼は、職を辞し、幼い頃から住む町にカウンターだけの小さな店「兆治」を始める。そこに集まる客は、昔からこの町に住む顔なじみばかり。野球仲間、親友、そしてサラリーマン時代の同僚たち。兆治が様々な思いを秘めてカウンターに立つように、訪れる客たちにも悲喜交々な出来事がある。そんなある日、開店前の時間に一人の影ある女が訪れた。遠い昔、お互いに思いながらも別れてしまった「さよ」だった。彼女は地元の裕福な家に嫁いだが、兆治のことが忘れられないままいたという・・・・。

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