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悲しみよ こんにちは

📒『悲しみよこんにちは』
(Bonjour tristesse)
1954
フランソワーズ・サガン
(Françoise Sagan)

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「アンヌ、行かないで。間違いだったのよ。私のせいなの。あなたに説明するから」
「あなたには誰も必要じゃないわ。あなたにもあの人々も…」

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主人公のセシルは十七歳の娘、十五年来やもめ暮しをしている遊び好きのダンディな若い父とパリで陽気な生活を送っている。その年の夏、彼らは南フランスの美しい海辺のほとりに白い別荘を借り、父レエモンの愛人で半玄人のエルザと三人でヴァカンスを満喫している。セシルは海辺で知り合ったソルボンヌの学生シリルと仲良くつき合っている。そこへ、父の招待で、セシルの亡母の友達、クーチュールの仕事をしている上品で教養の高いアンヌが到着する。当初は何事もなくたのしいヴァカンスがつづけられているが、セシルは父がアンヌに惹かれはじめていることを敏く感じとる。

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アンヌは恋の一夜の風をその顔のやつれに見せ、幸福そうにほほえんでいた。セシルはアンヌから、「お父様と私 、結婚したいと思っているの」と打ちあけられる。セシルには、結婚や東縛に反対していた父が一夜で決心するとは信じられなかった。陽気なパリのつどいや半玄人の女の子たちや夜遊びといった、今までの生活が打ち切られて、父はブルジョア的で優雅な、計画立った生活をはじめることがほんとうに可能だと思っているのだろうか。

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☕️✨🍮✨

大人の夏休み。それはとても短い。
短いゆえに幸せを求める。言葉を選んで、ひそやかにささやいてみる。感受性のみで時間を見つめてみる。
一方で、夏は儚い。
儚い切なさゆえにモラルに反してみたくなる。倦怠感と孤独感も必要なのだ、と振る舞う。
暑い夏のさなか。茹だる暑さ。
心の危ういティーンエイジャーとなり大人というものを見つめてみる。
大人の世界は甘くも苦い。
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