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少し違う世界線の、どこかにいる私達の話。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 静かな夜の、公園のベンチ。 僕はホットコーヒー、 親友の男は缶ビール。 少しみんながそわそわしている、5月25日。 「あいつを倒して全部が終わったらさ、ゆっくり旅行にでも行きたいなあ。見た事ない景色を見て、その場にいるのを体感して。みんな同じこと考えてるだろうな」 親友は缶ビール片手に大声で言った。 僕たちは横並びになったベンチにバラバラに座っていて だから大声なのかと一瞬思ったが、 はじめか
この世の果ての果ての果て 真っ暗な宇宙のような駅のホームに 宙ぶらりんの、まあるい電球の下 一人の女が立っていた 電光掲示板は文字化けして弱く光り 今や 全くその役目を果たしていない 電車が来る気配はない そこにやって来た透明な駅員は これは珍しいと 女に声をかける 「こんばんは」 「あら、こんばんは」 「私が見えるのですか」 「お洋服だけ。でもそこにいるのはわかりますよ、駅員さん」 風が ごおおお……と吹く 線路はどこまで行っても暗闇だった 「電車を待っているんです