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ふと立ち止まってしまった

心の中の悪魔が語りかける。
「こうすれば、もっと儲かるよ」。
その声を聞いて、私はふと立ち止まってしまった。

「ギフトエコノミー」についての本を読んだのは、一か月ほど前のことだった。
ギフトエコノミーとは、お金を介さずにモノや技術をやり取りし、ゆずりあう社会のこと。「世界には、全ての人に行きわたる十分な量のモノがある」という考えのもと、ちょっとお隣さんに道具を借りたり、たくさんとれた作物をゆずったりする。

その本を読んで、わたしもまわりの人と支えあいながら生きていこうと決めたのだ。
そして、ネットの掲示板「ジモティー」で、いらなくなったものを0円でアップし始めた。
今まで、数回しか使わなかった香水や文房具などをゆずってきた。
そのこと自体は、自分が使わなくなったものをゴミとせず、誰かに活用してもらえるいい取り組みだと思っている。

でも。
「ジモティーで譲らずに、ネットで売れば、数百円は儲かるよね…」
と思ってしまうことがたびたびある。
お金を介在させずに(利益を求めずに)譲り合いの精神でやりとりすることは素晴らしいことだとは今も思っている。
しかし、お金に余裕があるわけではないわたしにとって数百円はとても大切だし、「お金をもらわないほうがかっこいい」というつよがりやきれいごとにも思えてしまうのだ。

わたしが憧れる、ゼロウェイストやギフトエコノミーを実践する方々はきっと、お金にこだわらずにのびのびとゆずりあいをしているのだろう。
もっと軽々とやりとりしていきたいのに、数百円のお金が惜しくなってしまう自分が嫌になる。
ていねいに暮らしたいとは思うけれど、ときどき「お金」がちらついてしまう。

でも、新しい考え方ができるようになるためには、時間がかかるのだろう。
今は資本主義から抜け出せなくて、理想と現実のギャップに苦しんでいる。
どうしたらいいか、迷っている。
ただ、自分が目指すものを常に考えて、少しずつ近づいていけたらいいと思う。
憧れの人を目標に、一歩ずつ。

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