毎日歌壇 2018〜

いつだってどこからだって逃げ出せる 街中(まちじゅう)の光あつめて遊ぶ

リビングからパンのにおいがしてきて私は許されたのだと気づく

「爪を塗る」と言えばSiriは「妻になる」いつまで寝ぼけたふりをしてるの

イアリングを落としていないか確かめるように男に触れる左手

視線を辿れば飛行機雲続き戻れないことがこんなに嬉しい

愛を込め教授が話すモンドリアン、カンディンスキーの響き忘れぬ

エンドロールより後に死ぬ人たちのことを思ってもう一度泣く

二人とも何も越えられないままだ人身事故で会えない日もある

田んぼだけの車窓に突然現れる向日葵みたいに見つけてほしい

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