今の婚活の話ってそもそも色々となんか違くないですか

「結婚したいからいい人がほしい」というのは全く逆である。それは誰でもいいということの表れであり、自分のことしか考えていないのだ。相手不在の考え方である。

「英語が話せるようになりたいから外国人の友だちがほしい」とか「われわれの会社のビジョンに共感してくれる良い人材がほしい」とか、それと同じである。

つまりその発想がそもそも受け身。

そして、現状「いい人がいない」ことを嘆いている。まるで世界が悪いのだと言いたいかのような趣旨。

非モテなのだ。

「結婚したいからいい人がほしい」という時点ですでに非モテの表れなのだ。

この非モテかどうかに、容姿や経験などは関係がない。自分が得たい相手・自分が狙った相手を得られているかどうかが重要だ。それがモテだ。

自分の命を張らずに他人の命をもらおうとする者に、同格以上の他人は命をくれようとはしない。

ふつう、結婚したいと思えるような人が先にいて、その人と結婚したくなるものなのだ。結婚や恋愛は1人ではできない。

婚活と恋活は究極的には同じものである。自分が「この人と一緒にいたい」と心から思えること、そして相手に「この人と一緒にいたい」と心から思ってもらえるかどうか。それ以外はハッキリ言ってどうでもいい。

男も女も相手に好き勝手条件やタイプをつきつけてあーだこーだ言っているが、実際には条件などというものはどうでもいいのだ。

タバコを吸う人は嫌だなと言っていた人がタバコを吸う人と付き合うことは多い。結局それは偏見だったり、過去の経験から導き出された人物情報なのだ。まだ相手に出会っていないからわからない。タバコなんてどうでもいいことに。

そういう人々は自分でも、自分が何が欲しいのか・自分が何がしたいのかがわかっていない。

ただ元カレや元カノの集合体や、自分の恋愛経験の少なさをさらけ出すだけである。

本当は誰もかれもが、ただ愛されて、自分の人生が自分単独の人生よりも良いものにしたいのだろう。

自分の薄汚い欲望と普段言っている建前、自分の人生とはなんなのか、そういうものと向き合うことが婚活の醍醐味だ。「お前とはそんなものだ」「お前は大したことがない」「お前ぐらいのやつはどこにでもいる」と評価されること、その地獄こそが現実なのだ。普段は誰も自分の人生など気にしていない。

ひたすら条件を釣り上げていく人は、自分を守っている。それぐらいでないと自分は相手にしませんよと相手を見くびることで自分は高い位置に居続けることができる。「自分が振っている」と思うことで、相手から振られていることに気付かない。

それは「自分は司法試験を毎年受けているから頭がいい」と言っている人間と同じなのだ。

余裕ぶっているフリをしているわりに一番余裕がないのだ。自分がいちばんわかっているのに、その殻を破れない。その程度の人間なのだ。もういい大人なのに。しかも、それが見破られていると気付けない。誰もわざわざ言わないからだ。だって、そういう人生だったのだ。

相手を通して、自分の人生の正しさを突きつけられる。「お前はどういう人間なのか」「お前はどう生きてきたのか」「ともに歩めるのか」「今後どう生きていくのか」というのを短期間で突きつけられる。その眼差しの刃に自分は耐えうる人間なのか。

そして同時に相手を見定める。「お前は自分の全存在を賭けるに値するのか」という点だ。

誰でもいいならば、誰にも相手にされない。あなたしかオプションがないから消極的に選ばされるのではなく、あなたがいいと選び取らなければならない。

真剣すぎてもいけない。余裕の無さの表れだからだ。

遊びがあって余裕がありすぎてもいけない。真剣でないことの表れだからだ。

男も女も、相手の真剣さや余裕さを嗅ぎ取る。こちらはこれほど真剣なのに相手があまりに余裕すぎると絶望する。こちらはこれほど余裕なのに相手があまりに真剣すぎるとどうでもよくなる。

たとえ深く絶望したとしても、ずっと追いかけ続けたいと思うか。その価値はあるのか。

他の人でもよいけれど、そんなにも追ってくれるのなら、一緒にいてもいいかなと思えるか。その価値はあるのか。

自分の存在という商品を賭けたゲームなのだ。

恋なんていわばエゴとエゴとのシーソーゲームだ。

自分の全存在を賭けなければならない。全存在を賭けなければ、相手も全存在を賭けてこない。自分が全存在を先に賭けるのか、相手が賭けるのか、そうしたゲームだ。

もうどうしようもなく負けてもいいと思える相手、そういう人物が少しでも自分の手に入るならば最大の勝利だろう。

本当に恋愛をしたことがあるのか。

婚活で初めて青春をしたのか。

こういうことは大きく語られない。

あまりに恥ずかしすぎるからだろう。

自分の醜態、自分の現実、自分の絶望、自分の醜悪さ、自分の野蛮さ、自分の野心、そうしたものをさらけ出せる人を探しているのだ。

それがもうすでにいるのなら、婚活する必要はない。

こちらがリアル側なのに語られていない。

みんななんていうかかわいいな。

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