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「リカバリー・カバヒコ」青山美智子

新築マンションの一角にあるこじんまりした公園。

その公園には古くなって塗装の剝げたカバのアニマルライドがある。

そのカバには、治してもらいたい部分に触れると不調が治る、という伝説がある。

人呼んで「リカバリー・カバヒコ」
…カバだけに(笑)

年齢も立場も違う人たちがカバヒコに救われ、前へ進む5つの物語。



優しく寄り添ってくれる文章

青山美智子さんの作品は、どれも温かい。

読者に寄り添ってくれるような温かみがあるように感じる。

主人公の悩みや胸の内に秘めた思いなど、苦しいことでもなぜか温かみを感じる。

初めて読んだ「お探し物は図書室まで」にも共通する温かさ。

疲れた心に沁みわたる。

ささいなきっかけで人は立ち上がれる

カバヒコの伝説は本物で、皆、治したい部分の不調が良くなる。

不調が改善するだけでなく、モヤモヤした心がスッとすると共に前へ一歩前進していく。

カバヒコによる後押しもあるが、一歩前進するのは主人公たちの心の変化や強さでもある。

ちょっとしたきっかけで人は立ち上がることができる。

前に進もうとするのも、その人自身だ。

誰に言われるでもなく、進もうとする人たちの力強さも魅力の一つだった。


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