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【詩】春夏秋冬

春、景色、虹色の花

全てが芽吹く
私の頭の中でも
確実に何かが変化する
窮屈な冬が消え
まどろむ景色の中
様々な色彩が踊り狂って咲いている
今はまだ現れない日々が
またいつか追いかけてくる
それが私の春
苦しい春

真夏の夜の出来事

夏の蝉が煩いと言ったのか
あれは騒音ではなくて
小さな生き物の声なのよ
命の証がそこにあるの
地上に食らいついてる姿がある
蜻蛉のような貴女は
涼しい顔して町を歩くけれど
「 ほら
そこに死骸が落ちているわ 」

晩秋

満たされている家はわかるもの
部屋の隅々まで幸福で溢れている

「 いつかこんな風に生活できたらいいね 」

西日の当たるマンションで
縮こまりながら小さなベッドで寝て

あたりには森林があって
大きな窓をガラガラ開けると
音が聴こえてくる

葉の擦れる音
鳥の声
川の流れる音
二人の声
笑いあう声

「 あなた、何時まで側にいてくれる? 」
そう言って自分の寂しい笑顔
街のウィンドウに映してる⋯⋯

孤独だった冬

庭にある柊の白い花が咲いた
バスルームに蝋燭を照らして
窓からその花を見つめた

この裸体を守ってくれる茂みが
無くなってしまうのは
何時のことになるのだろう

この木が枯れて無くなった時
わたしは生きているのか

死にたいと何度思ったことか
わからない人生だった
寒い季節に頼って生きるしか術が無かった

この冬が最後になるよと友人に伝えたら
迎えにきてくれるだろうか

孤独で死んで骸骨になって
ひどく寒いかもしれない

Sayonara
何時か見た景色
Sayonara
何時か出逢った人々
Sayonara
過去の自分

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