【家庭菜園】「栄養周期理論」と「自然農法」

栄養周期理論って何?

 栄養周期理論ってご存知でしょうか。ざっくり言うと、必要なタイミングで必要なだけ追肥するという栽培法です。

 前の記事でも触れましたが、栽培初期に肥料が多いと根張りが悪くなったり、実を着ける時期に窒素が多いと葉ばかり茂って実ができないということになります。

 とても合理的な考え方だと思うのですが、あまり一般的ではないようです。慣行農法では、施肥設計を見る限り、元肥をどんと入れて肥料が切れるころに追肥、という感じになってますね。

施肥のタイミング

 適切な施肥のタイミングっていつなの?ということなのですが、作物の養分吸収曲線というのが参考になります。(ネットで探してもなかなか資料が出てこないのですが。末尾で紹介する栄養周期理論の指南書にも解説があります。)

 下の画像は、とうもろこしの成長過程と養分の吸収率の関係を表したものです(N:窒素 P:リン酸 K:カリ)。

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 最初は肥料があまり必要ない、ということが良くわかりますね。栄養周期理論では「無肥料出発の原則」に基づき元肥(窒素)を入れません。

 この曲線からすると、各養分の吸収量が上がってくる5月が施肥タイミングでしょうか。

施肥の量

 当然ですが、各肥料要素の絶対量はそれぞれ違います。下の図はジャガイモの各養分の吸収量です。窒素・カルシウムとその他でずいぶん違いますね。

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 化成肥料8-8-8みたいな肥料の施肥量は、一番量を必要とする窒素に合わせて決めることになりますか。
 そして、ポイントとしては、花や実をつける時期(窒素が不要な時期)には窒素を切らすということです。先のとうもろこしの例では、7月(窒素吸収量100%付近)に切れる分量の施肥量になりますね。

栄養周期理論の詳細

 ここまでの説明は栄養周期理論のほんのさわりのさわりです。あとはこの本を読んでくださいね、で済まそうとしていたのですが

 現在品切れのようで、とんでもない値段がついてます。うーん。これ面白いので皆さんに読んでほしかったのですが(昭和21年の書籍の復刻版で、当時の日本の状況が伺い知れて、そういう意味でも面白いです)。増刷されないでしょうか… 
 興味がある方は「新栽培技術の理論体系」という本格的な書籍があるので読んでみてください。 

 この栄養周期理論の全容は、私にはまだ理解がおよばないところがあるので、追々記事にできたらと思います。まずは、元肥入れない、必要な時に必要なだけ追肥する、という考え方だけでも栽培の役に立つと思います。

栄養周期理論が一般的でない理由

 なぜなんでしょうか。今でもそれなりの実践者がいて、成果を出しておられるようではありますが。

 想像するに、理由はこんな感じかなと。

① 肥料は多めの方がリスクが少ない(と思っている)から
② 追肥のコントロールが難しいから
③ 追肥が面倒だから

 というのはですね、水耕栽培ではこのような養分コントロールはふつうに行われているようですし、カリフォルニア州の露地栽培の施肥ガイドを見てみると、

施肥率とタイミング
 通常、植える前に全量を施肥するよりも、分割施肥(窒素)の方が効率的です。 これは、ほとんどの一年生作物は、窒素をほとんど吸収しない初期の成長が遅い段階があり、その後、急速な成長と窒素吸収の期間が続くためです。 多くの作物では、初期の成長をサポートするには、植え付け時の少量の施肥(窒素)で十分です

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 栄養周期理論と同じようなことが書いてありますね。元肥を入れないとは書いていませんが。(栄養周期理論も、堆肥などの土壌から供給される窒素を考慮しての「元肥入れない」であって0でよいとは言っていません)。

 あれ、ひょっとしてこっちの方が普通?(日本って遅れてる?)

栄養周期理論と自然農法

 話は飛び、そして記事タイトルにやっと戻りますが、自然農法ってありますよね。googleで「農法」と検索すると、最初の方にずらりと出てきます。流行ってるんでしょうね。

 肥料をやるとかやらないとか、耕すとか耕さないとか、草を刈るとか刈らないとか、色々流派があるようですが、極力自然な状態に近づけて栽培しよう、という農法のようです。

 そして、自然農法でできた野菜は元気でおいしいのだそうです。

 私は自然農法やったことなくて、知識もなくて、自然農法でできた野菜を食べたこともありません。だいぶ想像で書いています。貸農園ではなかなか試すこともできないので。

 で、自然農法でできた野菜がなぜおいしいか、ですが、なかなかしっくりとくる説明が見つからないです。自然農法自体が自然回帰や環境保護といったベクトルを持ったもので、農法というよりは思想色が強くて、私のように「おいしい野菜をたくさん採りたい」という人間からすると分かりにくい(意識低い系ですいません)。 

 自然農法家は、自然農法でできた野菜を食べて「おいしい!」と思ったのが始めたきっかけという方が多いようなので、きっとおいしいのでしょうけれども、「自然に戻すことによって野菜本来の力を取り戻して」といった観念的な説明が多いんですよね。

 で、今の私の理解では、

自然農法 = 作物に持続的に養分を供給できる土壌を作る農法

と解釈しています。

で、野菜がおいしい理由は

・ 肥料過多にならない
・ 肥切れしない

からではないかと。

 長々と(想像に想像を重ねて)書きましたが、何が言いたかったかというと、「作物と養分」という観点だけで考えれば、栄養周期理論で自然農法に近い状態を作れるのではないか、ということです。

 去年作ったそら豆が、肥料が足りなくて、収穫がちょっぴりで、豆も小さくて、でも食べたらめちゃめちゃおいしかったんです。生まれて初めて「うまっ」っと声を出してしまいました。芸能人の食レポか。

 これって肥料が少なかったからでなないかなぁと。

 おいしいそら豆よもう一度、ということで、もう少し栄養周期理論を探ってみたいと思っています。

(この章、あとで修正するかも。。)


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