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砂漠でガソリンを買いに行った夫を待っていたら車をたたく音がした話(怖話です)


家族でキャンプに出掛けるために、朝早くから車に荷物を積み込んで
助手席には奥さん、後部座席には子供二人を乗せて出発したそうです。
もちろん子供二人は朝が早かったために車の中でもずっと寝ていました。

太陽も登り、子供たちが目覚めると途中でトイレをしたり休憩しながら目的地に向かっていました。
今回キャンプで向かう先は、自宅からは大分離れた場所にある為、途中で広大な砂漠を通過しなければならないルートでした。
その砂漠というのは、原住民も住んでいる所でしたが家族は車を使って通過するのであまり気にせずにいました。

途中でタイヤがパンクする事もありましたが、お父さんがタイヤを交換して事なきを得ましたが、エアコンをつけたまま休憩もけっこう多く取っていたために、ガソリンが底をついてしまったのです。

砂漠では日中は厚く、夜は寒いという環境で照明等もない為なんとしても日が暮れるまでにはこの砂漠地帯を通過したいという強い想いがありました。原住民がどういったものなのかはその時点ではわかりませんでしたが、先を急いだほうがいい事には変わりありませんでした。

幸いにもキャンプ道具を車に積んでいたので、ガソリンを入れるタンクや、スコップやハンマー、テントに食料は十分に揃っていたので、ガソリンを買いに行くのはお父さんが対応する事として、子供二人を奥さんが一緒に車で待つ形となりました。

お父さんは砂漠ではあるけども、通過してきた道にも数件のガソリンスタンドを見てきたので、時間は掛かるかもしれないけれど戻ってくるからそれまでは子供たちを頼んだと妻に言い。その後で一応この周辺には原住民がいるらしいので、もし遭遇したとしても身をかがめて車のドアを開けないように、私が戻ってきた時には必ず名前を口にするから、それを忘れないで待っている様にと伝え一人で砂漠の道を歩いて行ったのでした。

炎天下の中、ポリタンクを持って一人ガソリンを買いに行った夫をみて心配もしていましたが、頼もしくも感じていた奥さんは、子供と車内でお菓子を食べたり、歌を歌ったりしなが夫の帰りを待っていました。日が暮れるとともに、日中の厚さはどこに行ったのかというほど寒さが増してきたため、シュラフを肩からかぶって家族全員で後部座席に小さく身を寄せ合っていました。

子供たちは初めのうちは元気に過ごしていましたが、次第に父の帰りが遅いのを気にしだし、しまいには疲れもあって寝入ってしまったのです。
夫が車を出てから5時間位経った時でした。
あたりは一面真っ暗闇、ドンドンと車をノックする音がしたので、奥さんは夫が帰ってきたのだと、車外を見ようとしましたが夫の言っていた「原住民の話」も思い出したため、身はかがめたまま様子を見ることとしました。

夫であれば、名前を口にしてくれるはず
しかし、車をノックする音はするけども一向に名前を呼んではくれない事に警戒心が高まりました。初めはノックする程度だったのが、今ではドンッドンっと車内に振動が伝わる程の打撃に近い感覚となっていました。

奥さんはキャンプ道具の中から、身を守れるような物を手あたり次第かき集めていました。子供たちを見えないようにシートの下に隠した後で、手には鉈やスコップを握りしめて、恐る恐る車を打撃する方を確認するために頭を上げたのです。

窓ガラスには飛び散った血痕、それと原住民らしき人間が数人車の周りとボンネットに乗っていたのです。うち一人は木の棒の様なものをもって車を叩いていたのですが、木で叩いたところであの重い打撃音はしないだろうと思っていたところ、その木の先にはボーリング球くらいの丸い物が見えました。窓ガラスを叩いてきたそのボーリング球をよくよく目を凝らしてみてみると、奥さんは絶叫の後で気を失ってしまったのです。
なぜならその棒の先についていた丸いものとは、先ほどまで隣に座っていた夫の頭が付いていたからです。


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