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スーパーカブC125に乗り換えて失敗を乗り越えた話

リトルカブに乗って約2年半。リトルカブのことは大好きだったのだけど、50ccで走ることに疲れ果てしまったので小型二輪免許を取りスーパーカブC125に乗り換えた。

なんでスーパーカブC125にしたのかと言うと、新色のパールシャイニングブラックのかっこよさに一目惚れしたからである。実はリトルカブのときも当初は中古の55周年記念モデルのブラックを探していたくらい、黒い車体に憧れていた。

排気量125ccのC125はリトルカブと比べると車体が一回り以上大きくなり、車体重量が40kg増え、タイヤが17インチになったおかげで車高が78cmと8cmも高くなった。いちおう、車体もシート高も増えることはわかっていた。予約をするときに店舗にC125がなかったので不安はあったのだけど、勢いで予約注文をした。

納車1日目

待ちに待った納車日。担当者と店長、工場長が見守る中でいざ乗って帰ろうとするときにそのシート高の高さと重量感に急に怖気づいてしまい、しばらく敷地内で練習してから公道へと走り出した。

私は150cmと小柄で40kgと低体重なので、大きくなった車体と増えた車体重量とシート高の高さに少し後悔すら覚えてしまったのだけど、実際に走り出してみると、その40kg増えた車体重量のおかげで低速やカーブでもふらつくことがなく安定して走ることに驚いた。シート高の高さは、停止するときに前に乗り出せばなんとかつま先立ちする形で地面に付いた。

しかし一番の問題は家の前の急斜面である。

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家にたどり着くまでに、細い急斜面を登らなければならない。家の前の道も狭いので、切り替えして90度方向転換をしてから1速にして登らないと登れない。写真ではわかりにくいが、傾斜角は60度くらいあり、距離は15mくらいある。さらには、写真では階段が右側だけど5m先は階段が左側にある。

リトルカブを納車したときに住んでいた住居も、敷地が高いせいでバイク置き場まで階段とスロープが半分づつ付いている場所を登らなければならなかった。納車日にはるばる遠い販売店からたどり着いて、いざ登ろうとしたときに失敗して倒してしまった。そこでは計3回くらい倒したので、ミラーのメッキやアルミのステップは削れ、レッグシールドは左右ともにヒビが入り、フロントの泥除けの塗装も剥がれてしまった。

その後、今の住居に引っ越しをしてきてここでもやはりうまく登れず階段側へ倒してしまい、通りがかった人に助けてもらいなんとか車体を起こすことができたのだが、さらに傷は増えてしまった。その後、その失敗を乗り越えてリトルカブでは難なく登れるようになった。

さて、話はスーパーカブC125に戻る。

なにはともあれここを登らないことには家に帰れないのである。重たい車体をなんとか90度に展開させ、いざ発進。いとも簡単に登ることができた。なーんだ。簡単ではないか。安堵とともに一番の懸念点があっさり解決して拍子抜けした。

販売店からいったん家に帰ったものの、やっぱりさっそく慣らし運転をしたい気持ちが湧いてきたので、さっそく走りに行くことにした。ライダーの聖地、神奈川の人気スポットである宮ヶ瀬湖周辺をぐるっと回り、3時間ほど走って帰ってきた。

さて、問題の坂道である。さっき登れたから余裕余裕。なんて調子をこいていたのだけど、今度はさっきと同じようには登れなかった。

たぶん、車体が斜面に対して真っ直ぐ平行になっていなかったのだと思う。壁側に進みアッと思った瞬間、新車のスーパーカブC125とともに倒れた。その時、ちょうど通りかかったスクーターのお兄さんが助けてくれて車体を起こしてくれた。混乱しつつもお礼を言い、もう一度カブにまたがる。まだ心臓はバクバクしている。それでも、ここを登らないことには帰ることはできない。

車体をまっすぐに直し、呼吸を整えてセルスイッチを押してエンジンをかけた。ギアを1速に入れて何度か深呼吸をして落ち着かせ、スロットルを捻る。すると、カブは坂道をまっすぐ登り、無事に家へとたどり着いた。

あとで車体をチェックしてみると、ハンドルの横のメッキとウィンカー、ライトの横部分に大きな擦り傷ができていて、レッグシールドも塗装が少し剥がれてしまった。新車をさっそく傷モノにしてしまったショックは大きいのだけど、意外とリトルカブより頑丈なんだなと感じた。

納車2日目

この日も慣らし運転で走りに行った。公道を走ることにはだいぶ慣れてきたので、調子に乗って山梨の都留市まで向かった。山道を探検していて行き止まりに当たり、乗ったまま方向転換をしようとしてバランスを崩し、倒してしまった。やはり足付きと車体重量を考えると降りて方向転換したほうがいいのかもしれない。帰り道は、国道20号線で連休中日の大渋滞にハマってしまい、ぐったり疲れてしまった。

ようやく家の前までたどり着いたものの、やはり前日の失敗があるので登るときは怖かった。何度も深呼吸をして心を落ち着かせ、なんとか無事に登ることができたのだけど、恐怖心からスロットルを捻りすぎてしまい、バランスを失いかけてしまった。

納車3日目

この日は埼玉の奥地へ慣らし運転に出かける予定を立てていた。帰りのことを思うともうカブを出したくない気持ちもあったのだけど、出さなければ上達はしない。そう気持ちを奮い立たせて、走りに行った。帰りは天候が崩れ、途中で雷雨に見舞われたのだが家に着く頃には止んでいた。

いつものように斜面へ90度に方向転換をして、不安な気持ちを抱えつつ深呼吸をしてからスロットルを捻る。不安な気持ちは的中してしまった。やはり壁の方へ突っ込んでしまい、車体とともに斜面を滑り落ちた。車体の下敷きになり、右手を地面に強打した。辺りには誰もおらず、助けてくれそうな人はいない。このまま誰か通りかかるまで待とうか。

しかし、そこでハッと気付いた。このまま自分で車体を起こせないようではどこか走りに行って倒したときにどうすることもできないではないか。車体から抜け出し、身体で支えながら車体を起こした。しかし、後輪が溝にハマってしまい、斜面に前輪がかかった状態のまま後退することができない。落ち着け、落ち着くんだ。やればできるはずだ。車体を支えながらなんとか溝から後輪を出し、後退することができた。

もう一度シートにまたがり、エンジンをかけた。できる、できるはずだ。そう自分に言い聞かせて、スロットルを捻る。しかし、願いは虚しくまたしても車体はまっすぐ登らずに倒れて滑り落ちた。

通りかかった人に助けられながら車体を戻し、3度めの挑戦。ふらつきながらも無事に登り切ることができた。この2度に渡る転倒のおかげで、さらに車体に擦り傷が増えてしまった。しかし、それでも大きな損傷ができていないのが不思議なくらいC125は頑丈にできている。

そのことが逆に自信になった。3回も登れなくて倒したけど、最後はちゃんと登れた。それにC125はとても頑丈な車体だ。擦り傷が増えていくのは忍びないけど、何度倒しても登ればいいんだ。不思議とそういう前向きな気持ちになることができた。

納車4日目

この日は、用事があってC125で出かけた。出かける前、郵便屋さんがいつものように前後に重たい紙の束を載せたスーパーカブでこの恐怖の斜面をスイスイと登ってきたので思わず登るコツなどを聞いてみたくなったのだけど、直前で思い直した。

帰り道、家が近づくにつれて不安が襲ってきて駅前の月極バイク置き場を借りることも検討していたのだけど、車体をきちんと真っ直ぐにすればきっとできるという思いはあった。

90度の方向転換をし、車体はしっかりまっすぐ平行にした。いざ登ろうとしたときに車が来てしまい、一旦道を譲るため安全な場所に移動する。そして、もう一度体勢を立て直す。ハンドルも車体も斜面に対して平行になっている。深呼吸をしてスロットルを捻る。カブは難なく登り、すいすいと駐輪場まで登り切ることができた。ちゃんと真っ直ぐにして登ればできるじゃないか。これでもう、怖くないぞ。

納車4日目にして、この恐怖の斜面を克服することができた。これ以降、一度も倒すことなく家の前の坂道を登れている。

3回も倒して傷だらけにしてしまったC125は一生大事にしていこうと思う。


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