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グリーフケア(この2年間の心と身体の変化)

 妻を亡くして2年が経過し、先月、菩提寺にて三回忌法要を行いました。
この2年間は気持ちが大きな波のように変化したように感じています。この間の心と身体の変化を振り返ってみようと思います。

 大切な人を亡くしたときにおきる様々な反応のことを”グリーフ”と言います。グリーフは、自然な反応、百人いたら百通り、心や身体が変化するスピードもそれぞれ、でもいつか必ず心やすらぐ時が来ます。


☆グリーフは、人それぞれ、自分を大切に、あなたも大丈夫☆彡


◇私が経験した心と身体の変化☆

心理的反応: 孤独感 後悔 悲しみ 楽しみがない 生きること 
思考的反応: 集中できない 思考が停止する 物忘れ 
身体的反応: 食欲低下 胸の圧迫感 眠れない、涙もろくなる

〇孤独感
 最初の数ヶ月(特に最初の1か月)は、時折、”一人になってしまった” という感情が強くなることがありました。悲しみから涙がこぼれることもありました。四十九日法要を終える頃には、孤独感はやわらぎ、現実の生活を受け入れることができました。
 周囲の方に気にかけていただいたことで気持ちが落ち着いたように感じています。人の温かさを感じることは孤独感の解消につながりました。親戚、友人、知人に感謝です。

〇後悔
 最初の数か月は、妻との人生を振り返って、こうすれば良かったと思うこともありましたが、強い後悔を感じることはありませんでした。考えることから逃げていただけかもしれません。満足した幸せな夫婦生活だったからかもしれません。
 後悔も大切な人を想う気持ちなのですから、素直に受け入れることにしました。

◯悲しみ
 孤独感による寂しさによる悲しみもありましたが、それ以上に、道半ばで人生を終えた妻の心残りを思うと悲しみが増すことがあります。
 この悲しみは今でも感じることあります。なぜか朝の通勤時の独りの車中で色々と考え事をしていると、妻の事を想い出し、悲しみが大きくなって、胸の圧迫感や涙がこぼれることがあります。

◯楽しみがない
 最初の1年間は、あまり楽しみを感じられない日々が続きました。何をしても心の底から楽しむことができなかったように感じています。1年を過ぎたころから気持ちに余裕が生まれて、1年半を過ぎると主体的に物事に取り組めるようになり、昔のように食事、旅行、自然を楽しむことができるようになりました。

〇生きるということ

 四十九日法要が終わり生活が落ち着いた頃に、スピリチュアル的なことを考えるようになりました。今までの生活が一変してしまい、将来夢見ていた生活が失われてしまい、何のために生きているのか?これからの人生の目的は何なのか?
 答えがない問題ですので、あまり考え込まずに、日々を過ごすようにしています。2年経った今も将来については考えられず、毎日の生活(今)を大切に過ごすことを心掛けています。

〇集中できない(思考が停止する、物忘れ)
 仕事や生活の中で、集中できずに、ボッーとしてしまうことがあります。考える力が湧かず、思考が停止してしまい、会話のスピードについていけなかったり、物忘れやうっかりミスが増えたように感じています。
 ただし、これは介護のために前職の仕事を止めてから感じていたので、グリーフの影響ではないかもしれません。人との交流が減ったこと、ストレス、または年齢によるものかもしれません。今も感じることが多い症状です。

〇胸の圧迫感
 時折、胸の圧迫感を感じて、深呼吸をしたくなる時があります。グリーフの反応(思考的反応、社会的反応、心理的反応)がある時に、胸の圧迫感を感じて、その苦しさを和らげるために、大きな深呼吸を何回か繰り返します。これは、今も時々感じることがあります。周りからはため息と思われることがあります。

〇食欲低下
 最初の数か月は、時折、胸がつかえるような感覚を感じて、食欲がわかないことがありました。1年を過ぎると、昔のように食事に興味が出てきて、自宅でレシピを見ながら凝った料理を作ったり、美味しいお店を探したりするようになりました。今では、独り暮らしのため、つい好きなものを食べ過ぎて、体重が増加傾向です(反省)。

〇眠れない
 昔から不眠タイプではないため、不眠に困ることはありませんでした。入眠はスムーズでしたが、一方で、妻が亡くなって半年ぐらいは、夜中に眼が覚めて、朝方まで眠れなくなることが、時々ありました。時間経過と共に回数は減っていき、今はほとんど眠れなくなることはありません。
 食事と睡眠は、心と身体の健康のバロメータだと思っています。

〇涙もろくなる(心理的反応かもしれません)
 昔の出来事を思い出して、妻の心残りだろう気持ちを想像して、涙がこぼれることがあります。最初の数か月は頻繁に悲しみを感じることがありましたが、時間と共に涙を流すことは少なくなりました。また、昔に比べて感情が豊かになり、テレビ等のドキュメンタリー的な番組で泣いてしまうことが増えたような気がします。
 涙を流すこと(自分の気持ちを外にだすこと)は、グリーフケアにとって大切だと感じています。


◇私にとってのセルフケア◇

☆カウンセリングマインド☆彡
 
私の場合、2019年から学んでいたカウンセリングが、妻を失った後のメンタルケアに役立っています。講座で学んだ知識と経験(自己理解と自己受容、話すことで楽になるなど)が、自分自身のグリーフケアに大切だったと感じています。昨年は、カウンセラー講師養成講座に参加させていただき、今年も、カウンセラー養成講座に参加して、引き続き学びを続けています。

☆仕事☆彡
 妻を失った時は無職でしたので、まずは仕事を探すことがスタートでした。
 幸いにして、興味のあった飲食関係の仕事で、人とのコミュニケーションが大切な社会福祉の仕事が見つかり、職場の仲間にも恵まれて、仕事がセルフケアに繋がったと感じています。毎日の仕事が生活にリズムを作ってくれましたし、新しい仕事と職場での会話が大きな支えになったように感じています。職場の皆さんには感謝です。

☆休息と睡眠☆彡
 
睡眠はメンタルケアにとって最も重要だと感じています。ちょっと心が疲れたなと感じたら早めに布団に入って、睡眠時間を多めにとるようにしました。

☆食事とお酒☆彡
 自分で作った料理を食べながらお酒を飲むとリラックスできます。アルコールは適量なら息抜きに良いと思いますが、メンタル的には飲み過ぎは要注意です。気持ちに余裕が出てきてからお酒の量(体重も)が増えてしまっています(反省)。

☆彡好きな音楽☆彡
 音楽を聴くと心の安らぎを感じることがあります。落ち着いた曲、楽しそうな曲、懐かしい曲、その日の気分で違う曲を流して楽しんでします。

☆彡非日常を楽しむ☆彡
 
1年が経過した頃から気持ちに余裕が生まれて、自然に触れあいたいと感じることが増え、アウトドアや温泉に出かけるようになりました。ただし、旅行は二人の思い出も多く、懐かしい景色や旅先の夫婦の旅行者をみると、昔を思い出してしまい、気分が落ち込むこともあります。


◇この2年間の気持ちの変化◇

 1年ほど前に私と同様に愛する人を亡くしたご家族の方と会話をする機会がありました。皆さんのお話をお聞きすると、グリーフには共通することも多いですが、グリーフ反応の症状の内容も大きさも、回復のスピードも、人それぞれだと実感しました。

四十九日まで(自分を労り、素直なシンプルな生活)
 
四十九日までは、心に穴があいた感覚と悲しみが共存していたような感覚でした。 

一周忌まで(自然に任せて、感情をため込まない生活)
 
一周忌までは、日常生活すること(今を生きること)が大切で、生活を楽しむ気持ちや、将来を考える気持ちにはなりませんでした。
 新しい仕事が生活のリズムになり、日常生活を取り戻していったような気がしています。仕事と周囲の皆さんの気遣いで落ち着いて生活できたように感じています。

三周忌まで(自分を大切に、何かを始める生活)
 
一周忌が終わった頃から、気持ちが前向きになり、何か新しいことを始めたいと思うようになりました。ちょうど新しい仕事も1年が経って仕事に慣れてきたことも関係しているかもしれません。

三周忌が終わって
 
独りの生活に慣れて、気持ちが落ち着き、心に余裕ができたように感じます。妻との生活を想い出す回数も減ってきて、何か寂しさや申し訳なさを感じることもありますが、今は自分を大切に生きていきたいと思っています。また、妻との思い出の記念日、家族を意識する行事、月命日や法要の前後の日には、何となく気分が落ち込むことがあります(記念日反応と呼ばれています)。
 まだ、将来の目標や夢を考える気持ちにはなりませんが、暫くは興味の
あることに目を向けて、好きなことをやりながら、気持ちよく過ごしたいと思っています。

最後に
 この2年間の心と身体の変化について、素直な気持ちで振り返ってみましたが、ここに書けなかったこともあります(話せないこと、話したくないこと、まだ消化できていないこと)。今回のnoteは書く時間がかかりましたが、自分の気持ちの整理にもなりました。


今日は妻と出会うきっかけとなったハイキングの場所 ” 尾瀬 ” に行ってきました。青空、緑の山々、冷たい風が、心を爽やかな気持ちにさせてくれました。(2023/8/27)

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