ごがつのうわごと②

『虚夢十行』 〜ボンドの夢〜

 親指と人差し指の間で乳白色の粘り気が脈を打つ。隙間からあぶれたボンドをものぐさに指で拭ってしまったばかりに未だこの粘着力からは解放されない。指をこすり合わせ、違和感から脱出を図ろうとすれば、日本の指の腹の間では薄い乳白色のこよりが少しずつ育っていく。
 日射しがカーテンのない窓から入り込み、剥き出しの眩しさや熱さが締め切り間近の宿題の作品を照らす。謎の使命感で育てたこよりはいつの間にか掌サイズの繭になっていた。


『一ツ目ダンス』

ジョハリの窓の新たなガラス
シャッターフラッシュに毒されて
今日も画面で誰かが踊る
ワンタッチの拍手が欲しくって
回る、まわる、各自の拡散
架空のハイタッチに乗せられて
オーディエンス焚いて、抱いて
承認求める心は食べられ
インパクトだけが主役になる
四角い箱の中
エール全てを飲み干して
眩むバッカスの宴
ダンスホールが燃えている

こんにちは。今日の当番、高校文化祭準備前日、展示場所の広さに興奮して前転したすいかです。
主に現代詩ですが、掌編、短編にも挑戦中の身です。最近チョコミントが好きになりました。赤○乳業万歳。


           (執筆者 すいか)