ただ、衝動的に

 真夜中の道路を歩く。
 ふらふらと、ゆらゆらと、重い体を引きずって。

 このまま車に轢かれてしまえばいいのに。
 電池が切れたように突然倒れて、二度と目がさめなければいいのに。
 明日など来なければいいのに。

 そんなことを漠然と考えながら惰性で歩く。
 何事もなく無事に家に辿り着いてしまって酷く落胆した。
 あーあ、何も起こらなかった。

 どうせ明日は悪い知らせがやってくる。
 こんなときは決まってそうだ。
 いいことなど何も起こらない。
 諦めと絶望が体の中を渦巻いて、ただ一つの衝動を生む。

 こんな生活を続けたくない。
 こんな毎日を生きていたくない。
 どうして自分だけがこうなのか。
 どうして周りの人間は幸せそうなのに。

 死にたい。
 死んでしまいたい。
 終わりたい。
 終わらせてほしい。

 床に倒れ込んだまま動けなくなって、呆然と天井を見つめる。
 こんなにもまぶたは重いのに、意識は一向に途絶えない。
 僕が僕である時間を一秒でも多く無くしてしまいたいのに。
 僕という意識をこれ以上保ちたくないのに。

 嗚呼、このまま衝動的に窓から飛び出せるほどに理性が欠如していたら。
 そうしたら、もう少し何かが変わっていたのだろうか。

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