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誰かの一押しの大切さ

前回は、私がなぜ「メンター」という仕事をしているのかを書いてみました。
今回は、だれかの一押しで人ってこんなに頑張って、結果が出せるんだという事の実体験をお伝えします。


ベトナムの弟


2011年当時、私が経営していたマルサ斉藤ゴムは、タイのゴム風船メーカーで製造されたゴム風船を、出資をしていたタイのアッセンブル会社でパッキングをして自社製品にし、日本国内のコンビニエンスストアやスーパーなどの店頭で販売しておりました。
ただ、風船の資材をタイのゴム風船メーカー1社に依存していたため、別の風船メーカーと取引をしたいと考え、ゴム風船の原料である天然ゴムが取れるベトナムの風船メーカーを探しておりました。
その年、タイからベトナム・ホーチミンに入った私は、友人の紹介で通訳としてA君と出会いました。
彼は日本の語学学校を出た後に日本で6年ほど働き、ベトナムに戻ってきたばかりでした。A君と一緒にいくつかのメーカーの工場を見学して、夜は一緒にご飯を食べながら、色々とお互いの話をしました。
その時に聞いたA君の夢は、彼の田舎ダラットで採れる白菜を使って、日本式のキムチを作って販売することでした。
当時は日本と同様にベトナムでも韓国ドラマの影響で、韓国料理が流行っており市場には韓国から輸入されたキムチが売られておりました。
しかし日本で食の仕事についていた彼は、日本の旨味成分の多い日本式のキムチがベトナムでも受けると思ったらしく、キムチの事業で起業したいと話してくれました。
私は、キムチであれば発酵食品のため、当時ベトナムでは高価で入手が難しい冷蔵車を必要とせず、ダラットから普通の車で6時間かけてホーチミンに持ってきても大丈夫だと考えて、彼の夢を後押ししました。
今では何と言ったか忘れましたが、きっと「大丈夫、いけるよ。がんばれ、応援している。」とこのような事を言ったかと思います。


2012年A君のバイクの後ろに乗る私

その後の彼の努力


私はそれ以降もベトナムに通い、ゴム風船工場との取引や人口増が続いているベトナム市場への参入など、ベトナムでのビジネスを模索しており、その間にA君のチャレンジが少しずつ実を結ぶ姿を見てきました。
ダラットの市場で購入した白菜を彼の実家の1フロアでお父さんとお母さんの助けを借りてキムチにし、トラックでホーチミンに運び、日本式のキムチとしてブランド化した彼の商品を、日本食レストランや地元のスーパーなど少しずつ販路を広げていっておりました。
そして、2015年以降は、私はベトナムでのビジネスを諦めたため、ベトナムには行くことがなくなりましたが、SNSやメッセージアプリで彼とは連絡をとっており、お互いの状況は把握しておりました。



A君の作るキムチ


7年ぶりの再会


私は2020年4月に会社倒産・自己破産をしたため、海外へ行くことはなくなりましたが、2024年3月にプライベートでベトナム・タイ・マレーシアの16日間で各国の友人に会いに行く旅をしてきました。
そしてその1番最初に会いにいったのが、A君でした。
日本からホーチミンに飛び、国内線に乗り換えダラットの空港に着くと彼が迎えにきてくれました。
彼は「お兄ちゃん、久しぶり、迎えに来たよ!」と、自分の車で迎えに来てくれて、彼の実家に泊めてくれて、2泊3日の滞在期間中の私の面倒をすべてみてくれました。
そして、彼は建てたばかりの大きな新工場を案内してくれました。
工場の中には製造に必要な日本製の機械が並び、大きな冷蔵庫やトラックヤードを備え、工場の周囲は白菜畑になっていました。
1つずつ機械の説明をしてくれて、「ここの場所を使って、お兄ちゃん、一緒に何かビジネスをしようよ!」と言ってくれました。
すべては昔彼に言った私の一言が彼のビジネスを後押ししたようで、それをずっと感謝してくれているそうでした。
誰かの後押しがこんなにも誰かの支えになるんだという事を実感した、一例です。


A君の会社と工場

現在の私


会社を経営していた時に、自身の経営判断で迷ったり、自身の下した判断が間違っていないか?不安になった事は数え切れずありました。
現在、創業5年以内の7社のメンターと顧問企業2社のメンターをしており、様々な業種の会社の支援をさせて頂いております。
その中で業種は違えどビジネスの基本に変わりはなく、経営者は同じような悩みを抱えていて、その相談をしたいと考えている事を実感しております。
そして同じような経営者目線でする誰かの後押しが、とても力になる事も知り、ますます力が湧いてきています。
そして、倒産・破産を経験した私だからこそ伝えられる事、相談できる事もある事があり、この支援の仕事に生きがいを感じています。




最後に

ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。
ここでは、私の想いや活動などを書いていきたいと思います。
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